
From Adobe stock
新聞記事で「大人の発達障害」という言葉を知った僕。そこに書かれていた特性の数々は、僕のこれまでの人生そのものでした。
なぜ、僕は15回以上も転職を繰り返してしまったのか。
なぜ、一番大切なはずの妻を、苦しめてしまったのか。
僕が診断を受けようと決意するに至った、二つの大きな要因について、お話ししたいと思います。
1.異常なまでの転職回数と、社会不適合の烙印
僕の職務経歴書は、もはや「めちゃくちゃ」という言葉以外に表現しようがありません。情報処理会社、テニスコーチ、デザイナー、コールセンター、葬儀屋…。一つの場所で、長く安定して働くことが、どうしてもできなかったのです。
どの職場でも、最初は「今度こそ頑張ろう」と意気込むのです。でも、必ず同じ壁にぶつかる。
何気ない一言でその場の空気を壊してしまう
「こうあるべき」「こうすべき」という考えが強い
「自分が攻められている」という思い込みからキレてしまう
その結果、孤立し、居場所がなくなり、逃げるように辞めてしまう。その繰り返しでした。
「自分は社会不適合者なんだ」
そう自分に烙印を押し、ひきこもりになった僕にとって、「発達障害」という可能性は、この終わりのない転職ループの理由を説明してくれる、唯一の希望のように思えたのです。
(僕の壮絶な職歴の詳細は、こちらの経歴ページで赤裸々に語っています)
2.そして、妻のカサンドラ症候群
僕がひきこもり、将来への希望を失っていた間、一番近くで僕を支えてくれていたのは、妻でした。
しかし、僕の「普通」とは違う言動は、そんな彼女の心を、静かに、しかし確実に蝕んでいきました。
・妻が悲しんでいても、どう声をかけていいか分からない。
・「こうあるべきだ」という自己の価値観を押し付けてしまう
・ただ話を受け止めてもらいたいだけなのに、妻の言動のひとつひとつに反応してキレてしまう
コミュニケーションが成り立たない。気持ちが通じ合わない。そんな毎日の中で、彼女は心身ともに疲弊し、日に日に笑顔を失っていきました。
これが、後に知ることになる「カサンドラ症候群」でした。
アスペルガー症候群のパートナーを持つ人が、情緒的な相互関係を築けないことから、不安や抑うつ状態に陥ってしまうのです。
「あなたの言っていることが、どうしても理解できない」
「どうして、僕の気持ちを分かってくれないの?」
涙ながらにそう訴える妻の姿を見て、僕は初めて、自分の問題が自分一人のものではないと痛感しました。
僕の「生きづらさ」の正体を突き止めることは、僕自身のためだけでなく、一番大切な妻を救うためにも、絶対に避けては通れない道だったのです。