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就労移行支援、継続支援A型、B型、そして障害者雇用向けの転職エージェント…。
全ての選択肢を自分の目で見て、調べ尽くした僕は、ついに自分の進むべき道を決めるときが来た。
それは、消去法で選んだ道ではない。僕のこれまでの人生、僕の特性、そして僕の未来。その全てを考慮して導き出した、たった一つの答えだった。
僕が「B型事業所」を選んだ、3つの理由
僕が最終的に選んだのは、「就労継続支援B型事業所の利用」という道だった。なぜ、一番給料(工賃)が低いこの道を選んだのか。それには、明確な3つの理由があった。
1.職業適性検査の結果
就労移行支援の体験で受けた適性検査の結果は、僕に衝撃の事実を教えてくれた。僕の適性が高いと出たのは、なんと「ジャーナリスト」や「経営コンサルタント」、そして「人に何かを教える事」や「リーダー的立場として働く」こと。それに次いで高かったのが「クリエイティブ系の仕事」だったのだ。
「リーダーなんて、一番向いてないと思ってたのに…」
「デザイナー時代、社長にセンスがないと罵倒されたのは何だったんだ…」
もちろん、今すぐジャーナリストやコンサルタントになるのは非現実的だ。でも、「クリエイティブな仕事」や「人に何かを教える」ことなら、可能性があるかもしれない。B型事業所には、僕が興味を持てるWebデザインや動画編集の仕事があった。それは、僕にとって大きな魅力だった。
2.家族の状況と、経済的なこと
幸いなことに、僕には僕を支えてくれる妻がいた。彼女の扶養に入ることができたため、「今すぐフルタイムで働いて、家計を支えなければならない」というプレッシャーがなかったことは、非常に大きかった。
もし僕が一人ですぐ収入を得なければならない状況であったならば、間違いなく転職エージェントか最低賃金が保証されるA型を選んでいたと思う。また貯蓄がそこそこあり、多少時間をかけてでも障害特性を生かしたうえで働けるのであれば、就労移行支援事業所を選んでいただろう。
3.何よりも「リハビリ」が必要だった
15回以上の転職と、ひきこもり生活。僕の心と体は、自分が思っている以上にボロボロだった。「社会復帰」という言葉の響きが、まだ重すぎた。週5日、決まった時間に出勤する自信は、正直なかった。
その点、B型事業所は自分の体調に合わせて、週1日、数時間からでも通うことができる。まずはリハビリ感覚で社会との接点を取り戻し、自分のペースで前に進みたい。そう考えていた僕にとって、これ以上ない選択肢だったのだ。(生活上の身の回りの事はできるし、ある程度の社会経験は直近であったので、自立訓練は選ばなかった)
そして、僕は「支援する側」へ
B型事業所に通い始めた僕は、水を得た魚のようだった。自分のペースで、好きなクリエイティブな作業に没頭できる。何より、そこには僕を「普通」の型にはめようとする人は誰もいなかった。
少しずつ自信を取り戻し、利用者として経験を積む中で、僕の中に新しい感情が芽生え始めた。
「かつての僕のように、苦しんでいる人の力になりたい」
そして僕は、その事業所で「利用者」から「スタッフ」になった。今、僕は、社会で傷つき、働くことに困難を抱える仲間たちに寄り添い、彼ら彼女らが自分らしい一歩を踏み出すためのサポートをしている。
15回以上も仕事を辞めた僕が、今度は人を「支援する側」に立っている。適性検査で出た「人に何かを教える事」という、自分でも信じられなかった結果が、こんな形で実現するなんて。人生とは、本当に不思議なものだ。
最後に、あなたへ
これが、僕の物語の現在地です。
もし、あなたが今、どの道を選べばいいか分からず、立ちすくんでいるのなら。僕がそうだったように
まずは「自分を知る」ことから始めてみませんか? 就労移行支援の体験でもいい。転職エージェントへの相談でもいい。就労継続支援への見学でもいい。
大切なのは、「まず、自分で動いてみること」。
その小さな一歩が、あなたが想像もしなかった未来へと繋がっているかもしれないのだから。
あなたの「次の一歩」は、どちらですか?
今のあなたの気持ちに、より近い方を選んでみてください。