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「あなたのせいじゃない」
医師から告げられた診断と、その言葉。僕は、40年間の人生で初めて、自分自身を許すことができた。目の前の霧が晴れ、新しいスタートラインに立ったような、晴れやかな気持ちだった。
しかし、安堵したのも束の間、すぐに新たな疑問が頭をもたげてきた。
「で、これからどうすればいいんだ?」
自分の「生きづらさ」の正体は分かった。でも、それはゴールではない。ここから、どうやって社会と再び関わっていくのか。どうすれば、今度こそ「働き続ける」ことができるのか。
僕の本当の戦いは、ここから始まるのだと直感した。
未知の言葉との出会い
診断を受けたその足で、僕は本屋に向かった。「大人の発達障害」のコーナーには、僕が今まで知らなかった世界が広がっていた。
そして、そこで初めて、いくつかの重要なキーワードに出会うことになる。
・就労移行支援
・就労継続支援(A型・B型)
・障害者雇用
・合理的配慮
家に帰ると、僕は夢中でパソコンにかじりつき、これらの言葉を一つ一つ検索していった。それは、暗闇の中で、手探りで光を探すような作業だった。
見えてきた「3つの道」
調べていくうちに、発達障害当事者がその特性に合わせた仕事を探したり、僕の様に一度社会から脱落し
社会復帰を目指す人達が進む道が、大きくわけて3つあることが分かってきた。
- 就労移行支援事業所
生活リズムを整え、自分の特性を理解したうえで働くためのスキルを学び、就職活動のサポートを受ける道。 - 就労継続支援事業所
体力的にも精神的にもまだすぐ働く自信がない方向けに、配慮のある環境で、実際に働きながら(作業をしながら)、少しずつ社会に慣れていく道。 - 障害者雇用向けの転職エージェント
専門家のサポートを受けながら、すぐに一般企業への就職(障害者雇用枠)を目指す道。
「こんな世界があったのか…」
僕は、衝撃を受けた。今まで、一人で悩み、一人で戦い、一人で絶望してきた。でも、世の中には、僕のような人間をサポートしてくれる仕組みが、ちゃんと存在していたのだ。
まだ、どの道が自分に合っているのかは分からない。でも、進むべき道の選択肢が見えたことで、僕の心には、診断を受けた時とはまた違う、確かな希望が湧き上がってきた。
「よし、まずはこれらの手続きについて調べてみよう」
僕は、次なるステップへと駒を進めることにした。