こんにちは、きのやんです。
このサイトでは、僕の発達障害の診断から転職までの道のりを発信していますが、今回はその中でも「転職活動の成功率を大きく左右した」と
僕が確信している一つのステップについてお話ししたいと思います。
それは、就労支援サービスに相談に行く前に、ハローワークなどで受けられる無料の職業適性診断「キャリアインサイトMC」を受けたことです。
「早く支援サービスに登録して、就職に向けたトレーニングや具体的な求人を探したい!」と焦る気持ち、よく分かります。
ですが、もしあなたが「いままで就職や転職で失敗ばかり」「自分にどんな仕事が向いているか分からない」「自分の強みや弱みが客観的に知りたい」と
少しでも感じているなら、ぜひこのページを読んでみてください。

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なぜ、支援サービスより先に「自己分析」が必要だったか
診断を受けて転職に成功した今、僕が断言できるのは、「発達障害を持つ人は何より適職分析が重要」と「自分という武器の性能を知らずに、戦場(転職活動)に出てはいけない」ということです。
当時の僕は、診断を受けて自分の特性は分かったものの、「じゃあ、具体的にどんな仕事なら自分の能力を活かせるんだろう?」という点で、深い霧の中にいるような状態でした。このまま手当たり次第に就労支援サービスに相談しても、「どんな仕事がしたいですか?」という質問に、きっとうまく答えられなかったと思います。そこで僕は、まず「客観的なデータ」で自分を知るために、職業適性診断を受けることにしました。
「キャリアインサイトMC」とは? どこで受けられる?
僕が受けたのは「キャリアインサイトMC」という、主に全国のハローワークや地域若者サポートステーション(サポステ)など一部の就労支援センターなどで、無料で受けられる診断ツールです。これはパソコンを使って、いくつかの質問に答えていくだけで、
✔ 能力(どんなことが得意か)
✔ 興味(どんなことにワクワクするか)
✔ 価値観(仕事において何を大切にするか)
✔ 行動特性(どんな働き方をするタイプか)
といったことを、客観的なデータで示してくれます。
テスト、というよりは「コンピュータを使った自己分析のカウンセリング」といったイメージです。
※キャリアインサイトMCは独立行政法人労働政策研究・研修機構が開発したもので、WEBから無料で実施はできません。
【補足】「EC」と「MC」の違いについて
ちなみに、キャリアインサイトには「MC」の他に、主に学生や若者向けの「EC」というコースもあります。自分のキャリア段階に合わせて選びましょう。
対象者 | キャリアインサイトMC 職業経験のある30代後半〜60代 | キャリアインサイトEC 職業経験の少ない18歳〜30代前半 |
想定状況 | 転職やセカンドキャリアを考える人 | 新卒や、正社員経験が短い若者 |
診断の特徴 | これまでの職業経験の棚卸しに重点 | 潜在的な可能性や興味の探求に重点 |
僕の体験談:2つの診断結果を組み合わせて発達障害の「適職」を見つけるまで(どのように適職を見つければよいかわからない方へ)
僕の転職活動の羅針盤となったのが、「WAIS-IV(ウェイス・フォー)知能検査」と、この「キャリアインサイトMC」という2つの客観的な診断結果です。
これらを組み合わせることで、ぼんやりとしていた自分の「得意」が、具体的な「仕事」に結びつきました。
ステップ1:WAIS-IVの結果で「自分の障害の基本特性」を理解する
発達障害の診断時に病院で受けたWAIS-IVの結果は、僕にとって最初の大きな自己発見でした。この検査で、僕の「言語能力は高いが、ワーキングメモリは小さい」といった、能力の凸凹(でこぼこ)が明らかになりました。臨床心理士曰く「言葉を扱う能力は非常に高いが、目で見た情報を処理したり、複数の情報を同時に記憶するのが極端に苦手」とのことでした。
発達障害と診断された方、またはその恐れがあると診断された方、「WAIS-IV検査」をぜひ受けてみてください!
WAIS-IV検査の結果や、そこから見えてきた僕の詳しい強み・弱みについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
➡️ 「はじめの一歩:僕が精神科のドアを叩くまで」の記事へ
このWAIS-IVの結果と臨床心理士の説明から、どうやら僕は「スピードや正確性が求められる事務作業」や「言語能力は高いが、顧客の心情やその場の状況を的確に把握、取捨選択し、高度かつ臨機応変な対人スキルが求められる仕事(営業など)」などは不向きということがわかり、逆に「言葉を使った仕事」や「自分の知識やアイデアを活かせる仕事」や「自分のペースで没頭できる専門職」を目指すべきだ、という大まかな方向性を掴むことができました。
ステップ2:キャリアインサイトMCで「具体的な適職」を探す
WAIS-IVで見えてきた大まかな方向性を、キャリアインサイトMCは具体的な職業名として見事に裏付けてくれました。診断結果で適性が高いとされたのは、以下のような職業です。
✔ 1位 ジャーナリスト
✔ 2位 経営コンサルタント
✔ 3位 キャリアカウンセラー
✔ 4位 職業相談員
✔ 5位 心理カウンセラー
・・・(中略)・・・
✔ 12位 職業訓練指導員
✔ 16位 WEBクリエイター
✔ 18位 WEBデザイナー
これらの職業に共通していた適性傾向は、まさに僕が強みとして認識した「リーダー的立場の仕事」「人に物事を教える仕事」「自分の知識やアイデアを活かせる仕事」「人と接する仕事」でした。この結果を見て、僕は自分の進むべき道に、さらに強い確信を持つことができました。
結論:2つの診断結果から導き出された発達障害をもつ僕の「唯一の適職傾向」
この2つの診断結果と自己分析を掛け合わせることで、発達障害をもつ僕の目指すべき方向性ははっきりとしました。
年齢的に今から取り組んでも難しい適職を省き、興味のある分野で今からでも取り組めそうなものをピックアップしました。
高い言語能力(WAIS-IVの結果)を活かし、ジャーナリストやキャリアカウンセラー(キャリアインサイトMCの結果)のように「専門知識を伝えられ」、職業相談員や職業訓練指導員のように「人に物事を教える」
そして自身の興味のある「クリエイティブ分野」の仕事
【最重要】診断結果が、その後の活動をどう変えたか
この客観的な「発達障害をもつ自分の取扱説明書」を手に入れたことで、僕の就労支援サービス選びの基準は、劇的に明確になりました。
それまでは、「発達障害に理解のある支援サービス」という、ぼんやりとした探し方しかできませんでした。
しかし、自己分析で導き出した「人に教える」スキルや、自分の興味のある分野「クリエイティブ分野」という具体的な方向性が見えたことで、「WEBクリエイターや動画編集といったクリエイティブ系のスキルを身に着け、将来教えられるようになる為の就労支援サービスを探そう」という、具体的で明確な目的が持てたのです。
結果として、僕は自分に合った就労支援サービスと出会い、2つの診断結果から導き出した適職の通り、最終的にクリエイティブ系(動画編集)のサポートスタッフとして人に教える仕事に就けたのです。これは偶然ではなく、しっかりと自分と向き合い自己分析をおこなった結果だと思います。
なぜ「WAIS-IV」と「キャリアインサイトMC」両方を受ける必要があるのか?
ここまで読んで、「なぜ2つも診断を受ける必要があるの?1つだけでいいじゃん。」と感じた方もいるかもしれません。その理由は、発達障害を持つ僕たちの特性に深く関わっています。
僕たち発達障害を持つ者は、障害特性上、自分の得意なことや苦手なことを自分一人で客観的に分析するのが苦手だからです。
また
障害特性上、仕事のパフォーマンスやメンタル、そして定着率が職種や働く環境によって大きく左右されるからです。
だからこそ、
✔ WAIS-IVで、自分の脳の「基本性能」や「特性の凸凹」を理解し
✔ キャリアインサイトMCで、その特性が社会のどんな「職業」に結びつくのかを知る
という、この2段階の自己分析が、何よりも重要になるのです。この2つの視点を掛け合わせることで初めて、自分だけの「取扱説明書」が完成し、自信を持って転職活動のスタートラインに立つことができるのです。
キャリアサイトMC診断を受け終わったら、必ずまた戻って来てください!
もしこのページを読んで「キャリアインサイトMC」に興味を持ったら、ぜひお近くのハローワークに行ってみてください。
そして、客観的な診断結果が出たら、次はその結果をどう読み解き、どう活かして、自分に合った就労支援サービスや仕事を見つけていくかが
最も重要になります。
僕が診断結果を分析したうえで、それを元にどのような点を重視し就労支援サービスを選んだのか、具体的な判断基準を次の記事にまとめています。
診断を受け終わったら、ぜひまたこのサイトに戻ってきて、次のステップに進むためのヒントを見つけてください。