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発達障害であるASDとADHDの併発により、様々な困難が増す僕の例

自己紹介ページでもお話ししましたが、僕はASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如・多動症)を併発しています。

近年、成人の発達障害が認知されるようになり、「ASDはこんな人」「ADHDはこんな人」といった情報が巷に溢れるようになりました。しかし、この情報には大きな「落とし穴」が存在します。

それは、発達障害の各症状の多くは併発=重複することです。

世間に広まるこうした表面的な情報や認識が、実は当事者をより深く苦しめているもう一つの要因だと、僕は考えています。

1. 併発がもたらす仕事上の困難の増幅

一般的な情報では、ASDとADHDの症状はそれぞれ個別に語られがちです。しかし、僕の場合、これらが重複することで、仕事上の困難は格段に増幅しました。

【僕の仕事上の困難例】

  • 朝起きるところから一日が始まるまで、時間管理や満員電車、人混みなど、複数のストレス要因が重なる。
  • 職場では、ASDの「こだわり」とADHDの「衝動性」が同時に現れ、自分で勝手に決めた仕事にのめり込み、マルチタスクでパンク状態に。
  • 最終的には「なんでもっと早く相談しなかったんだ!」と上司に叱られ、ADHDの衝動性から「組織上の問題ではないのでしょうか!」と反論してしまう。

このように、ASDとADHDの症状が複雑に絡み合うことで、一つ一つの困り事が深刻なトラブルへと発展していくのです。

2. 併発がもたらすコミュニケーションの衝突

仕事上のコミュニケーションにおいても、併発による困難は顕著に現れます。

【僕の仕事上のコミュニケーショントラブル例】

  • 曖昧な指示への反発(ASD + ADHD):上司の「うまくやっておいて」という曖昧な指示に、ASDの特性で自分なりに解釈して進め、上司に叱られる。さらにADHDの衝動性から「ちゃんと指示してくれないと分かりません!」と感情的に反論してしまう。
  • 会議での衝突(ASD + ADHD):ASDの本質を突く発言と、ADHDのこだわりが相まって、周りの空気を読まずに自分の意見を押し通そうとしてしまう。結果、議論が白熱し、周囲の人々を置いてけぼりにしてしまう。

こうした衝突は、ASD単独、ADHD単独では起こり得ない、併発ならではの現象です。自分の脳が作り出す衝動やこだわりを抑えきれず、自らトラブルを招いてしまう恐ろしさを、身をもって体験してきました。

3. 研究の遅れと当事者の苦しみ

発達障害研究の第一人者である本田秀夫先生も指摘しているように、「研究が専門分化している」という背景から、ASDとADHDの重複に関する研究はまだ始まったばかりです。

なぜ発達障害の特性の重複はなかなか理解されないのか。その背景として様々な要因が考えられますが、その一つに「研究が専門分化している」ということがあります。(中略)もちろんアメリカや日本、そして他の国にも発達障害の重複を扱っている研究はあります。ただその数が少なく、その為、重複例への理解がなかなか広がらないというのが現状です。

(引用元:『発達障害 生きづらさを抱える少数派の「種族」たち』本田秀夫 著 SB新書)

この現状は、ASDとADHDを併発する当事者にとっての困難をさらに大きなものにしています。

4. 脳の働きとどう向き合うか

僕たちが抱える様々な困難は、まさに「脳機能の偏り」からくるものです。この偏りを「治す」ことはできません。しかし、この偏りを「理解し、付き合っていく」ことは可能です。

そのためには、まず自分の「認知のクセ」を理解し、ネガティブな思考に陥らないように意識的に考え方を変えていくことが大切です。また、ストレスを溜めないように環境を調整し、自分なりの発散方法を見つけておくことも重要です。

まとめ:生きづらさの要因を知るということ

40代になった今、僕は心から「発達障害」と診断されてよかったと思っています。それは、長年抱えていた生きづらさの原因が「自分の脳機能の偏り」にあると分かったからです。原因が分かれば、対処法を考えることができます。

私たちは、自身の障害特性を理解し、周囲に相談できる環境を整えることで、ストレスを最小限に抑え、より自分らしく生きられる道を見つけられるのです。







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