大人の発達障害である私の就労支援事業所 体験入所 part1

就労支援事業所体験パート1画像

就労支援事業所5ヶ所(就労移行支援、継続支援A、B型)に問い合わせを行い体験入学の日程が決まった。
まず初めに体験入学が決まったのは東大宮駅周辺の就労移行支援事業所の「事業所①」だ。

前回にも述べたが、私がいままで経験してきた仕事の中での得意不得意、トラブルの要因、人間関係(入社してみないと分からないが)、職場環境、適性などを洗い出し、総合的に判断した内容が「クリエイティブ系」「同じ価値観同じ目標を持つ仲間」「自宅でもできる仕事」「自分の環境やペースで出来る仕事」「誰かに何かを教える仕事」である。この理想的な状況に少しでも近づけるようまずリハビリも兼ねて就労支援事業所を利用してみる事にきめたのだ。 
ちなみにこの間にも平行して近所のアルバイトにも数件応募してみたが、時給900円前後のアルバイトですら書類審査(WEB申し込み)の段階で落とされるか条件が合わずに決まらなかった・・・アルバイトですら年齢や性別で落とすのだ。(氏名、住所、生年月日のみで履歴書、職務経歴を出す前の段階)ほんとつくづく生きにくい国になったと思うと同時にこの国には呆れるばかりである。

早速「事業所①」担当者(社会福祉士兼職業指導員)にアポをとり、事業所に伺った、場所は東大宮駅から近く雑居ビルに入った事業所で、中は比較的広く、清潔感のあるスペースだった。私が来所した時にいた利用者は2~3名のみで年齢層は大体20代後半~30代前半であった。
担当者に2人だけで落ち着いて話せる別室に通して頂き、まずお互い挨拶をした。職業指導員の担当者はだいたい50代後半から60代前半位の中年の男性で印象はとてもよく、しっかりとした口調、私の話も相槌を打って聞いてくれ親身になって答えてくれる信頼できそうな担当者であった。
まず私の状況(障害の内容、いままでの社会人経験~困りごと、これからどうしていきたいか)などを問診され、事業所の概要や大まかなカリキュラム内容、困りごとへの対応方法。就労サポートなどの話を聞いた。

この就労移行支援事業所もそうだが、就労移行支援事業はその名の通り就労に移行するために支援する事業所の為、社会的スキルを養い、自身の適性ややりがいを元に、主に障害者雇用として募集している企業に就労をする事を目的としている。
その為、20年以上の社会人経験のある私にとって、ある程度の基本的な社会的スキル(社会人としての身だしなみ、面接を受ける準備や上司への会話方法(敬語の使い方)や社会人としてのふるまい方)は備わっており、同事業所のカリキュラムに含まれている「面接練習」や「上司への話し方」「社内での会話方法」などは私には不要と感じた。
またカリキュラムは週や曜日によってきめられており1コマだいたい60分~90分で、1日で午前の部と午後の部があり、どちらから参加をしてもよい。自身に必要だと思うカリキュラムだけ受けてもいいとの事だ。ただ話を聞く限り今の私に必要なカリキュラムは社内で相手に不快を与えない会話訓練「SST=ソーシャルスキルトレーニング」くらいで、あとは比較的どうでもよい積み木の組み立てなど、その他あまり自身に必要と感じるカリキュラムは正直なかった。
そしてHPでも記載していた肝心なWEBデザイン等のカリキュラム内容も話を聞く限り、事業所に講師が常駐してマンツーマンで教えてくれるのではなく、全てオンライン型のWEB上カリキュラムのみで、そこまで専門的に行うものではないとの話であった為、この事業所の利用については「?」マークがついた。

ただ体験入学で適性検査が出来るとの事だったので、せっかくなので専用のPCでやらせてもらった。適性検査の診断は「キャリアインサイトMC」というもので正式名称が「職業適性診断システム」という。キャリアインサイトでは35歳以下がEC、35歳以上がMCとなっており、独立行政法人 労働政策研究・研修機構が開発した適職診断システムだ。この適性検査は全国のハローワークでも受けられるようになっている。興味のある方はハローワークまたは検討中の就労移行支援事業所などで事前に受けられるか確認するのが良いだろう。

所要時間30~40分位かかったが、私の適性や能力がわかった。少し長いが下記に記載する。
かなりのボリュームとなり、検査結果をプリントアウトしてもらったら10枚以上になるボリュームで様々な適性や志向、観点、考え方から自己分析を行う本格的な適性検査だ。

事業所体験入所パート1

能力と興味
【能力】
・1位 リーダーシップ
・2位 スポーツエクセサイズ
・3位 アート&クリエイト

あなたはリーダーシップが高く組織や集団の中でメンバーに指示したり、監督する役割が得意です。
また人前で物おじせず自分の意見を説明したり、発表したりすることが得意です。
また体を動かして作業をしたり、戸外で作業するような活動が得意で健康にも自身をもっています。
テキパキと行動し適切な指示を出すようなスピード感と判断力の必要な仕事をうまく行う事ができます。
【興味】
人々の先頭に立ってリーダーシップを発揮するような職業や新しい企画を立案して実行していくような仕事に興味を示します。また人との関わりが多く、人の世話をしたり、教えたり、奉仕したりするような仕事に適してます。

行動特性
【基礎的性格特性・思考特性】
日常生活や仕事上でつらい経験があると、あれこれ考えて長期間悩みやすい傾向を示しています。
人との接触や様々な場所への移動など環境変化が極端でない限りはどのような変化状況にも対応できる冷静な傾向を示しています。
過去に行ってきた仕事経験について自信にあふれた態度で他者にアピールする傾向があります。
時として経験の一面のみにとらわれている可能性があるので、自分の過去により冷静な分析を心がけるとよいでしょう。
【職場イメージ】
あなたは職場内が静かで比較的環境の変化が少ない職場イメージを好むようです。更に伝統や習慣にこだわらない自由な職場イメージを好むようです。
【得意とする対人関係】
人と接触する事を比較的好み得意としています。電話を介した業務に自信があり得意としています。
対応する相手が大勢の場合、得意だと思う傾向にあります。

価値観
あなたは仕事を選択するときに主に環境に関する条件を重視しているようです。職場での働きやすさや整備されている職場環境の条件なども重視しています。仕事のやりがいや達成感を追及するよりも安定した雇用条件で長期的に仕事を続けたい傾向といえます。

総合評価
あなたの興味と能力から判断し最も適合度が高かった順番は下記の通りです。

・1 企業的領域=リーダーシップ
企画したり運営するような仕事よりはリーダーシップが求められる仕事の方があなたの能力を発揮できそうです。


・2 社会的領域=リーダーシップ
人の世話や援助が中心の仕事よりは、人前に出たり、監督するような仕事の方があなたの能力を発揮できそうです。


・3 芸術的領域=アート&クリエイト
言葉や情報を扱うような仕事よりは、美術や音楽など創作したり表現する仕事の方があなたの能力を発揮できそうです。

希望する職業と相性診断照合結果の適職
1位 ジャーナリスト
2位 経営コンサルタント
3位 キャリアカウンセラー
4位 職業相談員
5位 心理カウンセラー
6位 パン製造工
7位 広告制作者
8位 作業療法士
9位 社会福祉士
10位 スポーツクラブ指導員
11位 アートディレクター
12位 職業訓練指導員
13位 ソーシャルワーカー
14位 社会学研究者
15位 社会教育主事
16位 WEBクリエイター
18位 WEBデザイナー
・・・


上記のように、リーダーシップが発揮でき人前にでたり人と接したり、美術や音楽などクリエイティブな分野に適性があるとの結果で、まあおおよそ自身が考える自己分析とはかけ離れていなかったがまさか1位がジャーナリスト、2位が経営コンサルタントとは思わなかった(笑)
大学も経済学部も出ていなくMBAも持っていない為、ジャーナリストや経営コンサルタントなどなれるはずもなく・・・

そんな適性検査を経て最大の障壁である支援事業所を利用するにあたり自己負担が発生するかどうかが問題であったので、まず自分で調べてみた

【障害福祉サービスの利用者負担上限額】
障害福祉サービスを利用する際の利用者負担として「サービスに要する費用の1割」と食費等負担の「実費負担」があるようだ。そして「サービスに要する費用の1割」については世帯所得に応じた負担上限額が定められている。

↓さいたま市の障害福祉ガイド参照

区分世帯収入の状況負担上限月額
生活保護世帯生活保護受給世帯0円
低所得世帯市町村民税非課税世帯0円
一般1市町村民税課税世帯(所得割16万円未満)
※入所施設利用者(20歳以上)グループホーム利用者を除く
9,300円
一般2上記以外37,200円

「一般1」について非常に分かりにくい表だ。市町村民税課税世帯の「所得割16万円未満」というものを調べても良く分からない。世帯年収別に表記してくれないとよく分からない。
厚生労働省のHPの資料をみると「世帯収入がおおむね600万円以下」の世帯が一般1になるようだ。
私の場合は妻の収入と自身の仕事を辞めるまでの収入を合わせた昨年の世帯年収は600万円を超えるため、いま事業所を利用するとなると「一般2」となり月額負担上限額は37,200円となるようである。

ここで担当者の方にもいろいろ調べて頂いた結果が分かった。
私の場合は、「事業所A」を利用させてもらった場合はサービス利用費の自己負担額が1000円/日発生するらしく、週5日で月22日参加すると1000×22=22,000円もかかるらしい。ひと月自己負担額22,000円は大きい。しかもこれとは別に交通費と昼飯代などの実費の自己負担もある。

結局、サービス利用費と実費を合わせた自己負担額が節約しても、ひと月3万円~5万円もかかる為、本来の生活費を抑えるため妻の扶養に入った意味もなくなってしまうのだ。そうすると選択肢は「出所日を減らす」「翌年まで待って妻の収入のみで再度申請しなおす(自身が今年から無職になった為)」方法だが、出所日を仮に15日/月に減らしても15,000円もかかる。
それに交通費や昼食代などを足しても2~3万円は優に超える。その間は仕事も禁止されている。
そして翌年まで待って申請しても、嫁の収入のみでも世帯収入が600万円近くになる為「一般2」となる可能性が高く、結局意味がないのである。

ということで最終的には担当者も同情してくれたが、今回は「事業所①」の就労移行支援事業所利用は金銭的負担の理由とサービス内容を総合的に判断し諦める事にした。

福祉サービスは国民の税金が資源となっている為、無尽蔵に補助は出せないのは分かるが、世帯収入で一律に判断するのもどうかと思う。私たちの様に配偶者や家族の収入が基準を超えているだけで、社会復帰を目指そうと頑張っていて「就労移行支援事業所」を利用したいと思っている「障害者」に自己負担額の大きな冷や水を浴びせることは、障害者の社会復帰や自立の為に障壁となるのではないだろうか
追記:後に詳しく調べたところ、上記でいう世帯収入とは本人と配偶者のみの世帯年収であり、同居親の収入は世帯年収に換算されないとの事。

確かに民間のスクールなどに比べたら、就労移行支援事業は無料または格安で受けられるためお得と感じられるかもしれないが、こういった所で「落とし穴」があるのだ。
発達障害により職につけていない私たちのような障害者にとってはこのような場合、負担額が大きすぎる。

発達障害が原因で仕事につけなかったり、または就いてもそれが原因で私のように転職を繰り返して定期収入がない障害者に、毎月数万円も自己負担せよというのは酷な話である。またはその間、無収入の状態で通所までの交通費や昼食代も自己負担しやっていけとは無理がないだろうか。
※自己負担額や交通費、昼食補助などは各自治体や各事業所によって違う為、事前に役所窓口や体験入学した事業所に確認をとっておく事をおすすめする。

結局、国からお金が入るのは支援事業所で障害者本人ではないのに、それ以外の費用は障害者本人が自己負担せよというのは道理が通らないであろう。だったら国からの助成金を、直接我々障害者に渡してほしい。おいしい思いをするのが企業や支援事業所ばかりでは我々障害者は「障害者ビジネスの餌」と同じである。

一律で考えるのではなく、障害者がもっと利用しやすいように柔軟に行政が仕組みを練り直してほしいと切に願うのである。これは支援事業所が悪いと言っているのではなく「国の制度の問題」である。
仕事をしながら支援事業所に通えないいわば「無収入の状態で、実費だけ自ら払わなければならない」のであるのならば、いくら事業所を利用するにあたり月額料金などのお金がかからない対象者がいても、障害者の世帯収入によって負担の有無が変わるのであれば障害福祉自体の公平性が失われる。

その為、「実費にかかわる個人負担を国の支援金で賄う」や、規制を緩和し「働きながら(バイトなどしながら)支援事業所を利用してもよい(もちろん労働時間制限はかける)」などの規制緩和はあってしかるべきだと考える。

次の章では引き続き事業所の体験談をお話しする。

大人の発達障害である私の就労支援事業所 体験入所 part2

 

Pocket
LINEで送る

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です