カサンドラ症候群=カサンドラ情動剥奪障害とはアスペルガー症候群(現自閉スペクトラム症(ASD)に内包)の夫または妻(あるいはパートナー)と情緒的な相互関係が築けない為に配偶者やパートナーに生じる身体的・精神的症状を表す言葉である。
アスペルガーと愛 ASのパートナーと幸せに生きていくためには
マクシーン・アストン著 宮尾益知監修 テーラー幸恵訳 東京書籍刊
目次
■カサンドラ症候群とは
■妻のカサンドラ症候群について
■カサンドラとアスペルガー達が離婚をとどまり、本来の生活を取り戻すために大切な事
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■カサンドラ症候群とは
現在、日本でも「発達障害」と診断されている人が増えておりとなっており、それに伴いパートナーが「カサンドラ症候群」に陥り、最悪の場合、離婚に陥る夫婦も増えている。(昔から離婚の原因の一つに発達障害が多いという見方もできる)
ご存じの方もいるように「カサンドラ症候群」という名前は正式な診断名称ではなく、「ギリシャ神話」の中にでてくる悲劇の予言者カサンドラの心情を表した名称である。アポロンに求愛されたカサンドラは予言の力を与えられるも、その力を持った途端アポロンのカサンドラに対する愛が冷めてしまう未来を予見してしまい、カサンドラはアポロンを拒絶するようになります。それを知ったアポロンは激怒し、カサンドラの予言を誰も信じないようにする呪いをかけ、カサンドラが「トロイの木馬」を予言したにも関わらず誰からも信じてもらえず、後に悲劇の最後を迎えるというものです。
前述のようにカサンドラ症候群はこのギリシャ神話の悲劇のヒロインカサンドラから由来した症状の名前となっています。アスペルガー症候群(現、自閉スペクトラム症(ASD内包)だがここは広義の意味で知られるアスペルガー症候群という名称を用いる)を持つパートナーとその妻の情緒的交流が上手くいかず、様々な症状から抑うつ状態を引き起こす事=情動剥奪と呼び、その配偶者やパートナーの症状をカサンドラ症候群と名づけるようになったのです。
またカサンドラ症候群のもう一つ重要なポイントは、アポロンがカサンドラに「誰もカサンドラの予言を信じてもらえないように呪いをかける」=「カサンドラ症候群の悩み事を周りの人に相談しても誰も理解してくれないという苦悩に陥る」というところあります。
■妻のカサンドラ症候群について
それでは私たち夫婦の場合どのような過去があったか話の中で少し触れたいと思う。
まずその前に私の妻がカサンドラ症候群となった時の時点では、私はまだ「自身が発達障害である」という診断を受ける前であり、かつ発達障害という言葉自体も知らななかった事を付け加えておく。夫婦2人とも発達障害において理解と認識がなかった状態である。
まず私たち夫婦は結婚する前におおよそ7年くらいの交際期間を経て結婚に至ったカップルである。
出会いは私が20代中盤頃に社内で出会い、社内恋愛を経てから何度か別れるもよりを戻し30代前半で結婚したのだが、妻曰く結婚する前は私が発達障害特有の症状(アスペルガー症候群)があるとは一切分からなかったし気づかなかったと言う。何度か別れた理由はそこらへんにいるカップルとおおよそ同じようなありきたりな内容であった。妻曰く私の嫌な所は当然あるものの「まっすぐで、正直者で、誠実さ」に惹かれ結婚に至ったという。
結婚してからは付き合い当時と同じように何度か別れてよりを戻すという事は当然出来着なくなるため、夫婦生活が良好な時と悪いときを次第に繰り返すように過ぎていった。しかし関係が著しく悪化した時は必ずといっていいほど私のアスペルガー的症状が起因して関係をこじらせ、それが繰り返されることによって、結果、妻のストレスが蓄積されパニック障害に陥ってしまったのだ。
今思えば結婚後、約10年間、私のアスペルガー気質が原因で妻にはそれによるストレスが少しづつ蓄積されていき、10年たった頃に火山の噴火の様に爆発し、精神が崩壊してしまったのだ。今思うと妻には本当に申し訳ないことをしてしまったと思っている。
妻曰く当時抱いていた感情が下記に示す通りである(感覚としてコミュニケーション時の約8割が下記の状態だったとの事)
・気持ちが伝わらない
・話を聞いてくれない
・言っても誤解されて否定されてしまう
・話しかけると嫌がる
・反撃される
・話の意味が通じない
・コミュニケーションができない
今思えば「それ」の原因が私のアスペルガー症候群(現自閉スペクトラム症(ASD))によるものだと後々分かるのだが、当時はお互い「それ」すら分からなかったので、私たちは当時相当苦悩したのだ。
コラム:大人の発達障害の私と妻の「カサンドラ症候群」について
妻にとってみれば大きい子供か宇宙人と会話しているようで、常に「分かってもらえない」「察してもらえない」「共感されない」「理解できない回答が返ってくる」という恐怖と戦っていたのだ。ではなぜお互い「パートナー(私)が発達障害」と分からない状態であったにも関わらず、離婚に至らずに今は円満な夫婦生活が送れているか?それは今考えると下記の通りである
【アスペルガーである私の考え】
・当時、夫婦喧嘩をしてもその後に必ず「何が悪かったか?」を話し合い、感情のすれ違いだけで終わららず原因を2人で話し合ったから
・そして最後に私から必ず謝罪を入れるようにしたから
【カサンドラである妻の考え】
・結婚した今もアスペルガー症候群(この時はまだアスペルガーだと分からない)である夫が純粋でまっすぐに自分を求め、愛してくれた事をどこかで信じていたから
・夫とうまくコミュニケーションが取れないのが自分のせいだと思ったから
・ケンカした次の日、私(妻)が「離婚」を切り出したときに、夫が突然涙を浮かべ苦しがっていた。その時初めて「夫も苦しいんだ」と感じる事ができたから
当時のお互いの認識にこれほどのズレがある。私はケンカした時でもちゃんと話合いをして、お互い謝罪をしてきたからと思っていたのだが、当のカサンドラである妻はどこかで私のまっすぐで純粋な気持ちや、愛する気持ちを信じてくれていたたからと、考えや思いがこんなにも乖離しているのである。よく付き合っていたカップルが分かれた理由が同じだと思っていたのに、その理由が男女では全然違っていたという話と似ている。
最終的に妻は「離婚」を思いとどまり、今となっては私のこの障害を理解してしてくれて本当に有難いし、申し訳ない気持ちでいっぱいになるのだ。
ではなぜこのようにコミュニケーションのズレから多くのカサンドラたちは苦悩し離婚まで至ってしまうのだろうか?その原因は何なのだろうか?
それは男女(ここで言う夫婦)の脳機能が異なる事が全ての原因であり、女性特有の「共感を求める心」と、多くのアスペルガー夫(夫の方が断然多い)が持つ究極の男性脳である「他者の気持ちが分からない」「システマチックに物事をとらえる」「自分中心でしか物事を考えられない」といった脳機能の特性から来ていると考えられる。要は相反する脳機能を持つ人間同士がひとつ屋根の下で暮らし、円滑なコミュニケーションと情緒的交流を図っていかなければならないという、ある種曲芸を迫られるためである。
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■カサンドラとアスペルガー達が離婚を踏み止まり、本来の生活を取り戻すために大切な事
そのある種違う生物(脳機能が180度違う夫婦)同士が、お互い上手くやって行くにはどうしたらよいだろうか?私は下記2点を上げたい
・妻がアスペルガー症候群である夫の脳機能の特性を十分理解し、その傾向を把握しながらコミュニケーションを図っていく(他者理解)
・アスペルガー症候群である夫が、自分が発達障害者である事(傾向がある事)を受け入れ、障害の早期診断に自ら動き、夫婦のコミュニケーションの問題を改善していけるように自分なりに努力していく事(自己理解と自己対処)
いわば自己理解と他者理解である。下記記事や本ブログの1つのテーマである発達障害者が仕事にせよ、結婚生活にせよ、円滑に生きていくために一番重要なの事が「自己理解」と「他者理解」であるからだ。結局は全てここに行き着くのだ。
【労働者側】当事者が教える「発達障害の人は就職できない」と諦める前に、障害者雇用という選択肢と障害者雇用で重要視する3つのポイント
なのでカサンドラ達はアスペルガー夫の言動に振り回されるのではなく「夫たちの異質な言動が実は脳機能の偏りからくるものである」事を理解し、彼らの言動を言葉通りで受け取るのではなく、彼らのある種歪曲した言動の裏には、妻に対しての精一杯の愛情表現が隠れている事を理解する必要がある。そして疑問に思ったときはちゃんと相手に真意を確かめるようにすればよい。
例えば妻はその日あった何気ない日常会話をだた夫に聞いてもらいたい共有したいだけなのに、なぜかアスペルガーである夫からその話の解決策やダメ出しされてカサンドラはストレスが溜まるという事が良くある。アスペルガーの夫はロボットの様に感情を排除し、相手の気持ちも一切読み取らない回答に終始しがちであるが、それは脳機能の偏りからくる言動の特性であり、彼らの考えの中には妻に一刻も(その話)の問題点に気づいてもらい、妻の精神的ダメージを最小限に抑えるためにどうしたらよいか?という解決策(優しさ)を彼らなりに一生懸命模索したうえで発している言葉だという事を理解してあげればよいのである。(それが批判や皮肉という表現であっても・・・)
これはなかなか一朝一夕では身に付くものではないが、それを理解しようとする事によりアスペルガー夫の言動の傾向が、自分の意思からくるもではなく「脳機能の偏り」から発せられる言動であるという事が徐々に分かってくるはずである。彼らなりの優しさなり気づかいが相手に理解されづらい、または否定表現であらわれやすいことを理解してあげればよい。そうしていく事で徐々に彼らの言動がパートナーに対しての精一杯の愛情表現であるという事が分かるようになるはずである。
なんでカサンドラの私だけがこんな気持ちにならなければならないのか。悲しい気持ちになるし苦しい。カサンドラ達は皆言います。しかしそれは本当にカサンドラ達だけの症状なのでしょうか?
この症状はアスペルガー達にも同じことが言えます。なぜ私の考えが伝わらないのか、なぜ相手はいつも感情的になるのか、なぜ私の話を理解してくれないのか・・・と相手も感じているのです。
それはアスペルガーが常に社会生活上感じている事と同じなのです。多数派の意見により少数派の意見が排除されている現代の構図と同じなのです。
そしてアスペルガーを持つ夫が気を付けるべき点は、自分の脳機能の偏りの特性(困り事)が発達障害が起因してのものである事をちゃんと医師に診断してもらうこと。そしてその障害特性を自分で受け入れ、理解し、「その」発言をする事により相手はどのような気持ちになるのか?を客観的に見れるように自分を俯瞰する事が大切である。
逆を言えば当の本人がアスペルガー(発達障害)の認識がなく、「自分でその障害からくる困り事を改善しよう」という姿勢が見られないと、パートナーのカサンドラ症候群を2人で乗り越える事は限りなく不可能に近くなってしまい、最終的には離婚を選択せざるを得ない状況になってしまうだろう。
カサンドラ達はアスペルガーのパートナーの言葉の背後にある意図や特性を可能な限りくみ取り、「パートナーは〇〇と言っているが、実は私を一生懸命思ってくれる気持ちから発している言葉なんだろう」「本来ここでは〇〇という言葉が返ってくるはずだが、そうではないという事はパートナーは正直にただ物事に対する事実だけを答えて述べているだけなんだ」「ここは本来、ねぎらいやお礼などの言葉がほしいけど、脳機能の構造上それが出来ない(困難)なのだから、そもそもそれを期待してもしょうがない」といったようなある種割り切った気持ちが必要ともいえる。
そしてもしパートナーのアスペルガーが自分でも障害症状に困っており、カサンドラの話や意見を聞き入れる状態にあれば発達障害の事を2人で話し、医療機関に受診を促す事も非常に有効な手段であろう。
そして当のアスペルガー達は、もし自分の言動によりカサンドラが困っていたり、自分の言動がカサンドラにどのように伝わったか不安な時には、ちゃんと言葉にして「私は〇〇の気持ちで発した言葉だが、ちゃんと伝わっただろうか?」「自分は〇〇ように思い、それを思いやる発言をしたつもりだが、マイナスの意味でとらえてしまったか?」「パートナーがこんなに話したがっているという事は今日は褒めてもらいたい、慰めてもらいたい、共感してもらいたい気持ちなんだろう。とにかくこちらから解決策の提案や否定はせずひたすら話を聞いてあげよう」など、ちゃんと相手の気持ちを想像するクセをつける事。そして女性は寄り添いながら話を聞いてもらいただけという傾向があるのでオウム返しでもいいので、常にカサンドラの心情を思いやりながらコミュニケーションをする努力が重要である。
それをお互いに積み重ねていくと、ちゃんと相手の気持ち(脳機能の特性や共感)を踏まえたコミュニケーションが徐々にできるようになり、最後には私たち夫婦のように良い夫婦関係を築くことが出来るようになるはずである。(まだこれからも試練は続くだろうが)
カサンドラ症候群でパニック障害を発症した妻だが、私が「発達障害(自閉スペクトラム症(ASD)+注意欠如・多動障害(ADHD))」と医師に診断された時の気持ちを鮮明に覚えており、今では「自分を苦しめていたこのカサンドラ症候群の苦悩の原因がすべて解けた」と語っている。そして妻は結局、夫婦どちらも悪くなかったんだという事が分かって安心したと言っている。
以上の様に、カサンドラとそのパートナーのアスペルガーたちがお互いに情緒的交流を交えながら、本来の結婚生活を取り戻す為のスタートラインに立つには、カサンドラ達の努力だけでは到底なしえず、パートナーである張本人のアスペルガー本人たち自身がその障害に気づき、お互い「他者理解」と「自己理解」をしていくことから全ては始まるのである。
そして互いに常に相手を思いやる気持ちを忘れずに、そして「あなたがいてくれるから私は幸せである」という愛情表現を常にパートナーに示しながら、実りある結婚生活を過ごしてほしいと願うばかりである。
「それ」を乗り越えた夫婦にはアスペルガーたちのまっすぐで誠実な心を、カサンドラ達の愛情深く相手思いの心が深く結びつき、二人の間にかけがえのない「時」が流れているはずである。
あわせてカサンドラ症候群に悩むすべての人にぜひ下記書籍を読んで頂きたいと思う。
夫がアスペルガーと思ったとき妻が読む本 増補改訂版
(副題)カサンドラの女性が”離婚”を踏み止まるために必要な事
一組でも多く、アスペルガーとパートナーのカサンドラ達が二人で一緒に「カサンドラ症候群」を乗り越え、何物にも代えがたい素晴らしい夫婦生活となれるよう私は心から願っている。
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