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大人の発達障害が原因で転職を繰り返した僕の経験から、仕事を続けていくための大切なポイントを考察

僕は過去15社以上、転職を繰り返してきました。長年その原因を「就職氷河期世代だから仕方ない」と考えてきましたが、本当の原因が自身の発達障害(ASD+ADHD)だと知ったのはごく最近のことです。

今思えば、まだ発達障害が世間に認知されていない時代を、まるで「盲者が暗闇の中を歩き続ける」かのように、苦しみながら生きてきました。そしてその結果、短期間での転職を繰り返し、仕事上のスキルや社会スキルを向上させることすらできず、中年になってしまったのです。

しかし、この失われた30年近くの日々があったからこそ、今、同じような苦しみを抱えるあなたに伝えられることがあります。

なぜ発達障害があると仕事が続かないのか?

一言でいうと「自身の発達障害の障害特性が職場の環境や要求と合わないこと」が最大の原因と言えるでしょう。

発達障害をもっていると「相手の意図を汲み取ることが苦手」「思ったことをストレートに話してしまう」「雑談が苦手」「曖昧な指示の理解が難しい」などの特性からチームでの協力が難しく、報連相がうまくできなかったり、上司や同僚との人間関係で誤解が生じやすいなど、コミュニケーションの問題が生じやすくなります。

また「気が散りやすい」「注意があちこちに向きやすい」「一つのことに集中しすぎる(過集中)」などの特性から、複数のタスクを同時にこなすことが苦手だったり、ルーチンワークでミスが多くなりやすくなったり、締切やスケジュール管理がうまくいかないなど集中力・注意力の問題も挙げられます。

さらに「物事を計画的に進めるのが苦手」「段取りを組むのが難しい」「優先順位をつけられない」などの特性から、指示された仕事を始めるまでに時間がかかったり、タスクの漏れが生じやすくなったり、計画通りに仕事が進められないなどの実行機能の問題も起こりやすくなります。

プラスアルファ「聴覚、視覚、嗅覚などの感覚が過敏で、特定の刺激に耐えられない」などの特性から、騒がしいオフィスや蛍光灯の光が気になっって仕事が手につかなかったり、匂いなどで集中力が途切れたり、疲れやすくなったり感覚過敏と環境適応の問題なども起こりやすくなります。

そういった問題が積み重なり、職場の上司や仲間との人間関係に亀裂が入ったり、自己肯定感が著しく低下し、就労意欲が湧かなくなったりして、遂には退職せざるを得なくなるといった問題も起こりやすくなり、結果、転職の多いジョブホッパーになりやすくなります。

10年続けられた仕事と、数ヶ月で辞めた仕事の違い

僕の場合は、ほとんどの仕事を数ヶ月から1年程度で辞めてきましたが、唯一、10年近く続けられた仕事もあります。この差はどこにあるのでしょうか。

冷静に分析すると、続けられたその最大の要因は「職場の仲間」と「職場環境」でした。まるで大学のサークルのように、上司部下関係なく楽しく仕事ができる環境だったからです。上記で示したように自身の障害特性とたまたま1つの職場の「環境や要求」が合致していたとも言えます。

しかし、部署移動や転勤などでその環境や要求が変化すると、次第に職場になじめなくなり、最終的には退職せざるを得なくなりました。この経験から、たとえ「仕事内容」が自分に合っていても、「職場環境」や「要求」と「人間関係」が合わなければ長く続かないということを痛感しました。

特に体育会系な環境やハラスメントが発達障害者にもたらす困難

特に僕が苦労したのは、旧態依然とした体育会系の葬祭業や、集団ハラスメントやハラスメント上司がいたコールセンターでした。

  • 不条理なルール: 毎日ノルマのために炎天下でポスティングを強要されるなど、合理性のないルールに苦しんだ。
  • 閉鎖的な人間関係: 異を唱えると村八分にされるような環境で、正論を言った僕が最終的に組織から排除された。

これらの経験から、発達障害者が仕事を続けていくためには、「自身の障害特性の把握(適性把握)」「職場の理解や協力」の両方が不可欠であることが分かったのです。

30歳を過ぎてから生きづらさが倍増した理由

僕の転職歴の後半、特に30歳を過ぎてから、仕事上の困難はより大きくなっていきました。

これは、若い頃に比べ脳機能の柔軟性が低下したことや、若い頃から蓄積してきた精神的なダメージが限界に達したことが原因ではないかと感じています。

発達障害は生まれつきの脳機能の偏りであるため、現代医学では「治す」ことはできません。しかし、その偏りと一生涯付き合っていくための対処法を身につけることは可能です。

発達障害者が仕事を続けるための3つの大切なポイント

僕自身の経験から、発達障害者が長く仕事を続けていくために不可欠な3つのポイントを考察します。
冒頭にも申し上げましたが、発達障害の人が仕事が続かない理由は「自身の発達障害の障害特性が職場の環境や要求と合わないこと」が一番の原因だと述べました。ではどうすればよいでしょう?

  • 自身の「適性」と「障害特性」の把握 
    定型発達者と同じように、自分に合う仕事を見つけることは大切です。しかし、発達障害者はその前に、自分の障害特性を正確に把握することが何より重要です。何が苦手で、何が得意なのか、自分はどういった特徴を持ち、どういった事にストレスを感じ、どうしてもらうと安心できるのか?などを客観的に理解することで、職場とのミスマッチを避けることができます。
  • 周りの「理解」と「協力」が不可欠 
    外見からは分かりにくい「見えざる障害」だからこそ、周りの人に理解してもらうことが重要です。特に上記にあげた「自身の発達障害の障害特性が職場の環境や要求を合わせる」のは自分自身だけではどうにもならない環境的な要素が多分に含まれています。その為、職場の環境や要求と合わないのクローズ就労(障害を公開しない)では困難を極めることが多いため、障害者雇用就労支援などの福祉的就労、周りの理解が得られやすい環境を選ぶことが解決策の一つとなります。
  • 自分を客観的に見て対処する力(メタ認知力)
    就労後、最も大切なのは「メタ認知力」です。自分の言動を客観的に見て、その場で周りとの認識のズレや軌道修正を行うスキルを身につけることで、対人関係のトラブルを未然に防ぎ、ストレスを最小限に抑えることができます。自身の障害特性が職場環境や要求とあっているか判断するにも、第三者的な視点をもつメタ認知力は必ず必要となってきます。


まとめ

発達障害を持つ人が転職を繰り返す原因は「自身の発達障害の障害特性が職場の環境や要求と合わないこと」です。しかしそれは裏を返してみれば当事者側だけの問題でなく、働く環境や周りの理解不足にも原因があります。

まず「自身の障害特性を把握」し、「周りの理解や協力」が得られる環境に身を置くこと。そして「メタ認知力」を養うことで、心身ともに充実した就労生活を送ることができると、僕は信じています。




 

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