このサイトにはプロモーションを含みます

㉗発達障害であるASDとADHDの併発により、様々な困難が増す私の例 その2

分析イメージ

前回「発達障害であるASDとADHDの併発により、様々な困難が増す私の例」では、ASDとADHDの両方を持つ私が、その症状を併発(重複)する事により、仕事上の様々な場面で困難を生じストレスを溜めてしまう様子を紹介した。

ASDやADHDの解明は現在世界中で行われており、その原因の可能性として考えられているもののいくつかとして「遺伝的要素」や脳内の「内側前頭前野の機能低下」や「ミクログリア仮説」「脳内報酬系回路の問題」「ドーパミン量の低下」「大脳基底核の縮小」「前頭連合野の機能低下」などその他多数の脳内神経要因である。

私の場合、経歴 でも記載してあるとおり、出生時、病院内で脳の病気である髄膜炎を院内感染しており、ASD、ADHD含めた発達障害の最大の要因がその病気ではないかと思われる。
また両親(主に父方)の遺伝の要素も大きいと思われる。そういった経緯を経ていわば「必然的」ともいうべき状況で私は発達障害になったのではないかと考えられる。

では次に、ASDとADHDを併発することにより主に仕事上や職場でどのような困り事が増し、困難な状況になるのか前回に引き続き私の例を挙げて掘り下げてみたいと思う。


↓あなたも就労支援サービスを利用し、自分の障害と向き合ってみませんか。

発達障害は仕事ができない、仕事が続かないと嘆く前に活用したい就労支援サービスフローチャート


目次

ASDとADHDを併発する事による私の一番の困り事

いままで仕事が続かず転職過多の最大の原因はASDとADHDの併発である。

頭では辞めようと思っていても、勝手に発言してしまう。勝手に自らその状況を作り上げてしまう。恐ろしい脳の働き

ではどのようにしたらその障害と上手く折り合っていけるか?

人は原因が分からないから恐怖になる、原因が分れば前に進める



ASDとADHDを併発する事による私の一番の困り事

前回はASDとADHDの併発により主にコミュニケーションにおいて困り事が生ずる例を私の事例をあげて紹介した。
今回は更に踏み込んで症例だけではなく、なぜそのような困り事が生ずるかという要因など考えられるものについて述べたいと思う。

まずASDとADHDを併発する事による、職場での私の一番の困り事は下記のとおりである


・〇〇すべき、〇〇でなければならない。などという固定概念にとらわれ、その時の状況や相手の心情を理解せず自分の考えを一方的に述べる事、または相手に押し付ける事

上記により生じた偏った考えを衝動的に発言する事。また相手の指摘や反論などに過敏に反応し、反論や逆ギレをしやすいこと。


ほぼこの2つのパターンに集約される。
上記、症状が出る事により、相手とのコミュニケーションにおいて質的な問題が生じやすくなり、そして相手と良好な相互関係を築くことが困難となる。

まず1つめの症状の要因と考えられるのがASD=自閉スペクトラム症である。
ASDを発症すると主にこの「コミュニケーションの質的障害」と「他人との社会的な相互関係を持つことの障害」が起こる。
この最大の要因は脳内の内側前頭前野の機能低下を主とした理由であると考えられている。また近年では脳内の免疫細胞であるマクロファージとして活躍する「ミクログリア細胞」の過剰な働きによる炎症である「ミクログリア仮説」なども挙げられている。

そして2つ目の症状の要因と考えらるのがADHD=注意欠如多動症である。
私の場合、ADHDは多動・衝動性優位型である。(厳密にいえば注意欠如もある混合型ではあるが、多動・衝動性の傾向のほうが格段に強い)
ADHDを発症すると主に3つの「注意欠如優位型」と「多動・衝動性優位型」そしてそれらを合わせたした「混合型」タイプに分けられる。
ADHDの最大の要因は注意を持続できなかったり、計画的に実行したり、変化する環境に柔軟に対応することが出来ない「実行機能の破綻」と、脳が報酬の遅延に耐えられずに衝動的に他の報酬を選ぶという「報酬系回路の問題」である。

この大きな2つ(ASDとADHD)を併発する事により、私の困り事はより顕著化しやすいのである。



いままで仕事が続かず転職過多の最大の原因はASDとADHDの併発である。

以上の様にASDとADHDを併発する事でいままでの仕事や職場において、「相手の心情や状況を考えない発言」や「自分自身で固定概念を作り上げその概念に異を唱える者に対し反論したり口撃したり」する事が多くなる。そして「自分で作り上げた固定概念に基づき偏った考えを衝動的に発言したり」「相手の指摘や反論などに過敏に反応し、反論や逆ギレしたりする」などの傾向にあった。

これは紛れもなくASDとADHDの併発からくる困り事であり、15社近くも転職過多となった最大の要因でもある。経歴ページの最後の方にも書いてあるが、転職も最後の方になると「なぜ自分はいつもこうなるのか」という疑問を常に持つようになっていった。
「発達障害」と診断されたいまだから冷静に自分自身を分析できるようになったが、当時は「発達障害」というものは世間にほとんど知られていなかった時代である。
まさか自分の脳機能の偏りから「他人との社会的な相互関係を持つことの困難」「コミュニケーション困難」が生じ、困り事が障害となってしまい、自分の人生をとても生きづらいものにしていたとは当時は微塵も考えなかったのである。

下記、書籍ではASDとADHDの重複(併発)について以下の様に述べている。

ASDの症状が強く出ている場合、社会的コミュニケーションが取りづらくなります。またASDの症状とADHDの症状が重複している場合、周囲の人から奇異に見られることも多く、次第に孤立していく人も少なくありません。
~中略~
多動性・衝動性や注意欠如の行動特性が重複するだけでなく、限定された反復的な行動やコミュニケーションに障害がでる自閉スペクトラム症(ASD)と症状が重複する事もあります。ASDやADHDの特性がみられる人では、ある作業に集中している間にも他の作業や好きな事にとらわれる人もいます。周囲から「こだわり」という特性が確認できない場合もあるのです。

Newton別冊 最新脳科学と行動心理学で発達障害を科学的に理解する 
       精神科医が語る 発達障害のすべて



【PR】夫婦関係の悩み、復縁の悩み、不倫の悩み、片想いの悩みや、彼氏・彼女に対する不安などを持つ人

ミラーでお悩み相談・カウンセリング

お悩み相談・カウンセリングのミラーは↑文字リンクから申込み頂けます。



頭では辞めようと思っていても、勝手に発言してしまう。勝手に自らその状況を作り上げてしまう。恐ろしい脳の働き

前述したように転職後半では「なぜ自分はいつもこうなるのか」を常に考えるようになり「次は余計な一言は言わないようにしよう」「次は自分で思った事もちゃんと状況を見ながら発言しよう」「次は相手の指摘に過剰に反応しないようにしよう」と自分で注意しながら転職をするのだが、自分の意に反してなぜかそれがまた繰り返されてしまうのである。

頭では辞めようと思っていても、不思議と勝手に発言してしまうのだ。自らその好ましくない状況を作り上げているといった方が分かりやすいだろうか。わたしは何度も思った。「なぜ?このように発言せずにはいられないのか?」「なぜ冷静に立ち止まって考える事ができないのか?」「なぜ耐える事ができないのか?」「なぜいつもこうなるのか?」と。

それは「己の脳がそうさせている」からに他ならない。

当時は自分自身が発達障害だと気づかずに過ごしていた。それは自らの脳に逆らって別の考えや行動をする事などできないという証でもある。車の運転に例えると交通ルールを守らず、暴走や違法運転を繰り返し、捕まらず安全運転をし続けるようなものである。早かれ遅かれ重大事故を起こすか、道路交通法違反で捕まるかのどちらかである。

それだけ脳というものは恐ろしくも強烈な物である
自らの世界は全て脳が作り上げていると言っても過言ではない。

困難イメージ


【労働者側】当事者が教える「発達障害を持つ人(または疑われる人)は仕事が出来ない」と落ち込む前に注意したい7つのポイント




ではどのようにしたらその障害と上手く折り合っていけるか?

ASDやADHDなどの発達障害と呼ばれる精神障害は「脳機能の偏り」からくるものであり治すことはできない。前述したように発達障害は脳の働きや偏りである為に、その脳の働き自体を変えたり、偏りを治したりする事は出来ないのである。
その為、発達障害においては「自らその障害を自覚する事(自己理解)」「(困難が生じる前に自ら先回りして)対処する事(自己対処)」「症状がでても良い環境に身を置くこと(周りの理解含めた環境調整)」が非常に重要となり、発達障害と自分は「長く付き合っていく」という考え方が大切なのである。

前述の車の運転に例えていえば、自分は「危険な運転をする可能性がある」ことを事前に理解し、それが起こらないように自分で意識しながら安全運転を心がける。または同乗者に注意してもらう、先進安全機能を活用する。などでである。車の運転は発達障害とは異なり事故を起こさないことが大前提ではあるが・・・事故を起こす前にそういった予防線を自ら張っておくことで事故は十分に減らせる。または逆転の発想でスリルを求めたりスピードを出す運転をしたいなら「サーキットで思い切り飛ばす」などの周りの環境を変えてみるのもよいであろう。

自分の障害=脳機能の偏りを理解し、それらと長く付き合っていく気持ちが大切である。



人は原因が分からないから恐怖になる、原因が分れば前に進める

以上の様に、自分自身が発達障害だと分からない状況では、そういったトラブルが増えて自己肯定感が下がりストレスを溜めて心理的な恐怖を抱えやすくなる。人間は原因が分からない事には不安や恐怖を抱えやすい性質がある。また原因が分からないから対処のしようがないのである。それが対人においてであればストレスを抱えやすく、二次障害に発展しやすいのである。

しかしその対人トラブルの原因が「自らの脳機能障害」と分かれば、自ずと恐怖は消え、対処方法や周りの理解などで自ら生きやすいように工夫することも可能である。

恐怖は脳が自ら作り出すものである。発達障害による困難も脳が作り出した副産物でもある。自分で作り出すものは必ず自分で何かしら対処できるものである。


発達障害の特性はそれ自体が生活の障害となるとは限らない事も少なくありません。もちろん特性によって様々な苦手な事が起きるのは事実です。しかしその特性そのものがその人にとって致命的な弱点にはなりません。

特性が致命的な弱点になってしまうのは、その特性を本人や周囲の人が理解できなくなるからです。本人や周囲の人が特性を理解できないと失敗や衝突が生れます。こうなってしまうと本人の自尊心だけでなく周囲との関係も上手くいかなくなります。

そうした問題に発展しないように、自分の特性を理解して、普段から困ったら人に相談できる環境を整えておくことが大切です。

Newton別冊 最新脳科学と行動心理学で発達障害を科学的に理解する 
       精神科医が語る 発達障害のすべて


私は44歳になった今、こころから「発達障害」と診断されてよかったと思う。これがもし診断されずいままでの様に生きていたらそれこそもうダメだったかもしれない。それだけ自らの生きづらさの要因を知る事は重要であり、そしてこれからの人生前向きに前に進むために最も大切な事だったと今考えればそう思うのである。

希望のイメージ


発達障害当事者が教える就労支援サービス(就労移行支援、就労継続支援A,B型、転職エージェント)を利用する際の確認すべきポイント






Pocket
LINEで送る

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です