前回お伝えしたように医師より処方された薬をしばらく服薬していたがある理由によりそれを断念した。そのある理由とは「自動車の運転」である。
医師は薬を処方する以上は「運転をしてはならない」という。当然薬には眠くなる成分が含まれている為、たとえ市販の風邪薬でも服用をしたら運転は控えるように後ろの注意書きにも記載している。医師曰く発達障害で運転禁止と伝え処方箋を渡しているにも関わらず実際車の運転をしているであろう患者は一定数いるとの事。それは上にあげたように発達障害の方に限ったはなしだけではなく市販薬を服用してる人も同様の事だ。
その為、私は処方箋が出てから運転は控えていたが、やはり車がないと生活ができないのである。
私の住むさいたまも当然車がないと行動に制限がでてきて買い物に行ったり、スクールに通ったり何かと車が必要なのである。しかも厄介なことに去年10年乗った車から新古車に買い替えたばかりで、車をもう乗れないとなるとそれこそ数百万かけて購入した愛車をドブに捨てるようなものである。(嫁はペーパードライバーで運転ができない…)
またネットで詳しく調べると「薬を処方されて医師より車の運転を控えるように言われているにも関わらず、無視をして万が一、車で人身事故など起こしたら危険運転致死傷罪が適応され刑務所に服役しなければならない」と書いてある。私は恐ろしくなった。
いままでほぼ毎日運転していた為、当然事故にあう可能性は相対的にあがるのだ、その状況で万が一服薬を隠して人身事故など起こしたら犯罪となるわけである。
私は医師に「何とかならないか?」と詰め寄ったが、こればかりは決まりで医師の判断で運転してよいとは言えないとの為、服薬して運転しないか、服薬を諦めて運転を続けるかの二者択一を迫らざるをえないのだという。
私は医師に車が大好きで運転もほぼ日常的にやってきており、車も買い替えたばかりで車がないと今後も生活に支障がでるため、どうしても運転しなければならない事を強く訴えた。
そもそも症状緩和の為、医師の指示で発達症状緩和目的として服薬をしているにも関わらず、生活の足となる車で事故を起こしたら刑務所行きというのも一方的すぎる気がする...
発達障害の症状緩和の為の服薬が望ましい事は十分理解しているが、以上の事情により服薬は断念したい旨を申し出た。要は薬による症状緩和より、行動のしやすさを優先したわけだ。
そもそも注意欠如・多動症(ADHD)などは自動車運転事故など起こしやすいというデータが海外でもある。なので一律に服薬したら運転してはならない。ではなくそういった発達障害の人には服薬させ気持ちを落ち着かせ事故の低減図るべきだと私は訴えた。そもそも私の車には現段階最新の運転支援システムがついている。
以上をつたえ医師も私の考えに理解を示してくれた。ただ医師としては投薬は続けてほしいしせっかく自身の障害が分かったのだから日常の意識改善と投薬を合わせて症状緩和にむけて行ってほしいという。しかしまた発達障害(主に注意欠如・多動症(ADHD)のある患者)こそ服薬して運転すべきという私の考えも一理あるとの事。
総じてこればかりは法の問題なども絡み国や各省庁が決める為、どうしても医師の判断で変えられるものではないとのこと。(どうやら医師会?や発達障害を支援する機関は国に訴えてはいるみたいだが・・・)
確かに薬には眠くなる成分があるので運転は危険である。という考え方は誤りではない。
しかし注意欠如・多動症(ADHD)のような特殊な障害の場合は、服薬しない平時の方が「注意不足」や「落ち着きのなさ」「感情過敏」「キレやすい」など運転するうえで「危険要素」が格段に上がる為、服薬させて「落ち着かせる」という考えも誤りではない。ただそうすると発達障害者など日常服薬している人は生活の利便性が著しく落ちるという事に甘んじなければならないのか?なんでもかんでも一律に「薬を飲んだら運転するな」ではなく、それぞれ患者の症状に合わせて柔軟に対応したり、運転支援機能のある車は運転禁止は除外していい、などあらゆる可能性を考え法整備の改良も行うべきではなかろうか。(車の運転支援機能の話をすればレベル2や3の運転支援技術だと事故の際の責任は運転者本人にある為、運転者が罪に問れる。ならば服薬者が運転してよいとなる為にはレベル4や5のそうとう先であり事故時もメーカーの責任が問える(ようになる?)、ほぼ完全自動運転レベルまで待たざるを得ないというのだろうか?現在はまだ運転支援や自動運転の法整備が固まっていない為、まだだいぶ先の話にはなるが)
そんな状況で車のない生活は不便極まりなく想像できない為、私は服薬を断念し、診察のみ継続的に行う事を医師の了承の元、決めたのだ。
みなさんもこの問題についてはどう思うだろうか。一度考えてみてほしい。
PS:ある本に海外の事例が書かれていたので参考に記載します。
例えば米国のマサチューセッツ州などでは、運転免許証の更新時に何回も事故を起こしている事故傾向の高い人にたいして、ADHDのチェックリストへの記入が義務づけられており、専門医からADHDと診断されると薬物治療が行われるようになっています。
発達障害に気づかない大人たち 星野仁彦著 2010年祥伝社
このプログラムによって同州などでは、ADHDのドライバーの不注意傾向と衝動性が大きく改善され、交通事故が大幅に減少した事が報告されています。
事故を起こしやすい人は薬物療法を考慮すべきですし、国としても交通事故の抑止対策として、こういったプログラムの導入を検討すべきでしょう。
合理主義のアメリカならではの対策と言えるでしょう。ただこの海外のパターンは事故を起こしてしまった後や、繰り返す人へのの対策の為、「発達障害を持つ人の生活の質を向上させる」という観念からは疑問府が付く。
まず事故を起こす前段階で、免許取得時や更新時、また普段の生活で医師の診断を元に注意欠如・多動症(ADHD)と診断された全ての人に対し、事故を防止する目的で薬物療法(薬を飲みながら、運転をする)を許可するという制度にした方が良いと思う。