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コラム:大人の発達障害者の私の視点で観るNETFLIXドラマ「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」Part①

ネットフリックス イメージ

普段はブログの中で体験日記や「大人の発達障害」について思っている事や考えやを中心に述べているが、それだけでは堅苦しいしネタも限られてきてしまうので、もっと広い分野で「発達障害」や「大人の発達障害者の一人である私が感じている事」をお伝していけたらと思う。

今回は表題の通り、趣味の映画鑑賞の中の一つで、今私がハマっている韓国ドラマであるエンターテイメント分野について述べたいと思う。
まずその前に私のプロフィールでも触れているように私の趣味の中に「映画鑑賞」がある。まあ今のサブスクの時代、映画やドラマを逆に観ないという人のほうが少ないであろう。その映画鑑賞の中に私の好きな「韓国映画」「韓国ドラマ」がある(続きものの恋愛ドラマは滅多に観ないが)。
なぜ男なのに韓国映画やドラマが好きなのか?それは私の障害の特性に関係したもので「起承転結、ストーリーがわかりやすい」からである。

発達障害をお持ちの方で「映画のストーリーがわかりにくい」「隣で観ている人に「これどういうこと?」」と聞いて反感を買った事がある方はいはないだろうか?私はその中の1人だ。
なぜストーリーが理解できない(しづらいのか?)それはおそらく、発達障害の苦手な「登場人物の名前を覚える事」「役の名前と顔が一致しない」「登場人物同士の相関図が理解しづらい」。おおまかこのような理由ではないだろうか?私はそのすべてであり、良く隣で観ている妻にストーリーや登場人物の相関関係を聞き直して「なんでそんなこともわからないの!」と反感を買われたり、飽きられたりする事が度々ある。

ということで映画鑑賞は私のような発達障害者の一部の人間にとってはある種一大作業であって、それこそ「登場人物の相関関係がわかりづらいもの」「情緒性のある映画」や「伝えたい事がわかりにくい映画」「見終わった後に観客に考えさせる映画」や「裏の意味を読み取る必要のある映画」はとても苦手な分野なのである。
ただその中でも発達障害を持つ私が好ましいと思うのが「韓国映画」や「韓国ドラマ」である。
まず全体的にストーリーがハッキリとして、比較的、起承転結が分かりやすい。そしてハッキリと物事を映すシーンが多い為、頭に入りやすい事、そして役者の演技が皆うまいこと(日本ドラマなどで下手な役者が多いものは「それが」気になって内容が頭に入ってこない)、そしてエンターテイメントを国策としているだけに映画やドラマにかける予算が多くとても完成度が高いこと。などがあげられる。(ただ暴力的なシーンやショッキングなシーンが多い作品もある為、好き嫌いは分かれると思う)

いけない・・・またいつものように話がそれてしまった。
それでは表題のドラマ「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」(韓国題名:おかしな弁護士ウ・ヨンウ)について感想を述べたいと思う。

登場人物は私と同じ自閉スペクトラム症(ASD)(自閉症スペクトラム障害)を抱えて生きるパク・ウンビン演じる新米女性弁護士ウ・ヨンウが法廷や私生活で、さまざまな壁に果敢に挑むハートフルドラマである。
ドラマ全体としてはとてもチャーミングな構成で笑いあり、涙ありの胸が温まるドラマだが、ここに恐らく日本と同様、大人の発達障害者数が多いであろう韓国の事情も透けて見える。

父親と2人で暮らす主人公ウ・ヨンウは幼いころから自閉スペクトラム症(ASD)の症状を持ち、パニックになると耳を塞ぐ行為を見せ父親を困らせるが、そんな時、法律用語を聞いたり述べたりすると落ち着くという変わった特徴をもっていた。
「どこかほかの子と違う」父親はそんな一人娘を案じながら大切に育てていくが、娘は元気に育ち、障害の持つ特異な才能からなんとソウル大を主席で卒業するまでになる。しかし自閉症をもつ娘はどこの法律事務所からも落とされ、それを見ていて嘆く父はかつての大学の後輩が代表の弁護士事務所にコネでいれさせてもらうことに・・・そして大人になった娘は父親と同じ弁護士の道を歩むのである。就職する大手法律事務所の仲間達とひと悶着ありながらも、力を合わせて法廷で難題な問題に立ち向かっていくのである(仲間の中にはヨンウを疎ましいと思う輩もいるが)。そして同じ法律事務所の仲間とのラブロマンスを交えながら自身の身辺問題にもスポットが充てられていくという、王道ストーリーである。(一話完結物語なのでネタバレにはならないと思う)

鯨イメージ


まず主人公演じるパク・ウンビンの演技が可愛く素晴らしいの一言
定型発達者の役者が非定型発達者であり、なおかつ一癖もある自閉スペクトラム症(ASD)の役を演じるのは相当苦労があったと思う。まず視線や仕草、身のこなし方、歩き方、表情、そして自閉スペクトラム症(ASD)特有の早口なしゃべり方など、すべてがしっかりと計算されつくされている。特に彼女は「クジラ」が好きで、さかなクンもびっくりのクジラに対しての知識は「クジラ研究者」の如くである。
さらに法廷ドラマで難所である「法律用語」のセリフをすべて覚えないとならない。特に彼女が演じる自閉スペクトラム症(ASD)はサヴァン症候群を併せ持っている為、一度見た法律は完ぺきに覚えており、ドラマ上では度々、覚えた法律を羅列する場面も多々ある為、役者としては難易度が格段にあがるのである。
そういった非常に難しい役を完ぺきにこなしている点は称賛に値する。
そしてストーリーは1話完結ではあるものの、連続ドラマ特有の背景に流れる恋愛、人間模様などの基本となるストーリーは受け継がれている為、非常に見ごたえがあり、目の離せない内容となっている。
女性でなくても主人公の演技に胸がキュンとなること間違いなしである。(私は男らしからぬ恋愛映画も結構好きなのである)

ただ敢えて指摘させていただくとすれば、同じ大人の発達障害者として見ていてすこし「でき過ぎ感」は否めない。まあドラマなので致し方ないが彼女が演じる自閉スペクトラム症(ASD)はどちらかというと中程度の自閉スペクトラム症(ASD)に感じる。重度の自閉スペクトラム症(ASD)(自閉症)であれば、あそこまでのコミュニケーションの円滑さや周りへの対応は困難だろうし、私の様に軽度だった場合まず役を演じても「定型発達者」と見た目上の見分けがつかないはずである。ただ中度の自閉スペクトラム症(ASD)であそこまで周りの人間とうまく折衝しながらコミュニケーションを図り、しかも弁護士業をうまくやっていけるのだろうか?と素朴な疑問がわく。発達障害はできることとできない事の差が激しいのが特徴であるが、ドラマ上で演出される大まかな彼女の困難が「回転ドアに入れない」「少し空気が読めない」「場違いな発言をする」ぐらいであり、それ以外はあまり演出にないのである。本来はおそらく裁判を行うにあたり情報収集の段階や、聞き込み、調書作成、裁判所などへの対応、顧客との打ち合わせなどに中度の発達障害者は最も困難を伴うものと予想される。
本作はそういったところの内容がそこまでつぶさに描写されていないのである。また発達障害は何かとストレスを抱えやすく、他人と対立したりパニックになりやすかったりする。パニックに陥る事はドラマの中で比較的描写されているが、ストレスなどの心の葛藤模様がほとんど描写されていない為、主人公の心情に入り込めないのである。また大人の発達障害は体力が定型発達者より劣っていたり、疲れやすかったり、頭の中が情報過多になるため、集中を続けるのが難しかったりするところがある。(本当はそういった困りごとがもっと多いはず)
そういった演出をもっと入れていくと作品により深みが増すと思うが、ただこの作品は法廷ドラマでありながら、ラブロマンスを含んだコミカル作品でもあるのでこのような(障害特有の困難をあまり多く表現しない)構成となっているのかもしれない。

また視聴者に誤解を与えかねないのが「サヴァン症候群(見たものをすべて覚えるなどの特殊な能力)」である。サヴァン症候群は自閉スペクトラム症(ASD)誰しもが持つ特徴ではなく、自閉スペクトラム症(ASD)を持つ人の中でも自閉症患者に多く、非常に稀な症状である。ほとんどの発達障害者はそこまでの能力はないし、皆、突出した能力を必ず兼ね備えているわけではないことをここに付け加えておきたい。(かくいう私もそうだ)

そんな状況でNETFLIXで「鬼滅の刃」と「イカゲーム」の続編を待ちくたびれた私としては、久しぶりに見ごたえのある韓国ドラマを楽しんでいる。皆さまもぜひ一度ご覧になってみてはいかがでしょう。


PS:私が韓国映画やドラマを好きになったきっかけの映画が「私の頭の中の消しゴム」である。

もとは日本のドラマ「~ピュアソウル~君が僕を忘れても」をリメイクした作品であるが、私が心の底から泣けた映画の1つである。私は今でもこの映画が一番好きである。(次が「アジョシ」)
この映画を既にご覧になっている方も多いとおもうが「愛する人の記憶が1つづつ消えていき最後は愛する人自体を認識できなくなる=死よりも恐ろしいアルツハイマー型認知症」をテーマとした作品である。

恋愛を経て男(チョン・ウソン(俳優名))を好きになった女(ソン・イェジン(女優名))が彼と結婚するも、彼女のアルツハイマー型認知症が進行し最後には夫(チョン・ウソン)を認識できなくなるという悲劇の展開の映画である。後半のバッティングセンターのシーンは涙を堪えるのが困難なほど嗚咽してしまう(韓流や最近の泣ける映画は愛する人の事故や病気設定がけっこう多く半ば「反則的」ではあるが。笑)
ラストのシーンで夫(チョン・ウソン)は山の国道を車を走らせながら、まだ妻(ソン・イェジン)の記憶があった頃の事をなんとか呼び覚まそうと、強い香りのするシェーブローションを顔に塗りサングラスをかけながら、彼女にむかってずっと言えなかった「愛している」という言葉をなげかける。彼女はそれに微笑み返す。というシーンがとても印象深くて好きなシーンである。(彼女の記憶があった頃は「愛している」と言ってくれないと嘆いていたシーンの対比表現)

とにかく韓国映画(ドラマ)は韓国人と日本人との感覚が似ている事もあるせいか、とてもなじみやすくそして親しみやすく、そして「分かりやすい」為、私は好きだ。
そしてウ・ヨンウの続編を期待したい。

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