コラム:大人の発達障害の私が考える「女性の発達障害」について その2

女性のイメージ

前回の コラム:大人の発達障害の私が考える「女性の発達障害」について 同様、今回も女性の発達障害にスポットを上げて、社会生活や就労上の困や解決策について私なりに考察していきたいと思う。


目次

発達障害をお持ちの女性の恋愛と結婚 (良き理解者を1人つくる事)

就労においては仕事が長続きしなかったり、ストレスを抱やすく鬱や引きこもりにもなりやすい

男性の発達障害同様、女性の発達障害の生きやすさのヒントは自身の障害特性理解とメタ認知能力

自身の障害特性の理解や対処だけでは限界があり、周りの理解やサポートも必要となる

発達障害をお持ちの女性も就労支援などの専門機関を有効活用し自身にとって働きやすい職場を見つけよう

 

発達障害を持つ大人の方(又は疑われる方)が良い仕事環境につなげていく為の就労支援サービスフローチャート

 

発達障害をお持ちの女性の恋愛と結婚 (良き理解者を1人つくる事)

前回にも少し述べたが、女性の発達障害は恋愛や結婚においても問題を抱えやすい傾向にあります。

恋愛においてはASDやADHDなどのタイプにより特質は変わるのですが、ASDの人は基本受け身タイプで相手の気持ちを推し測ったり、相手の表情や態度から気持ちを読み取る事が苦手な為、言葉をそのまま受け止めやすく、簡単な誘いに乗ってしまったり、相手の言いなりになってしまいやすく、恋愛でのトラブルや性被害にもあいやすいという特性を述べた。
逆にADHDの人は、その不注意性、衝動、多動性の特質から、恋愛相手をコロコロ変えたり、自ら肉体関係を持ちやすかったり、ASD同様相手の気持ちを推し測る事が苦手である為、相手の気持ちを考えず、突っ走りやすいという特性からこちらも同様、恋愛でのトラブルになりやすい傾向があります。
ASDとADHDが混合している場合などは更に特異な状態となります。

ASD、ADHD共に言える事ですが、「相手の気持ちを考える、推し測るのが苦手」「自分の置かれた状況を冷静に判断しずらい」「想像力が乏しい為、その先のトラブルや展開を予測しずらい」などの特性から、恋愛においても様々なトラブルや被害にあいやすいと言えるのです。

そして結婚となると、その困難が更に増す傾向にあります。結婚はイコール伴侶とずっと生活を共にする事ですから、その伴侶との気持ち的な疎通=情緒的なコミュニケーションや対応が常に求められます。また日本では未だ妻は家事ができてあたりまえという風潮がある為、家事全般が苦手な特にADHDの女性などは、それが起因となって伴侶とケンカになりやすく離婚してしまう方もいるようです。

そして過去の記事でも述べている通り、発達障害の伴侶となる方は「カサンドラ症候群」を高確率で発症しやすいです。発達障害を持つ妻は定型発達の夫との情緒的なやり取りができなかったり、先述のような家事全般の問題などで夫婦ケンカも起きやすく、結婚生活が長続きしなかったりしてしまうパートナーも多いようです。
(※カサンドラ症候群は一般的には女性より男性の方がおおいASDの伴侶=妻の話を取り上げるパターンが多いですが、実際は妻がなんらかしらの発達障害をもっており、夫がカサンドラ症候群に陥るケースもあるようです)
ではそういったカサンドラ症候群を起因とした離婚などを避ける為には本人はどのようにしたらよいのでしょうか?

まず大前提として自身が発達障害なのか?医師の診断を受けることが必要です。

そして診断された場合やグレーゾーンと医師に言われた場合は、自身の障害特性を把握することです。

恋愛もそうですが特に結婚生活に至っては、自分自身が障害特性の把握(理解)をすることと、それ以上に大切な事は 相手=伴侶に自身の障害とその特性を伝えておくことに尽きます。
相手に自分はそういった悪い特性の傾向がでてしまうのは、自身の気持ちの問題ではなく、脳機能障害や脳機能の偏りが原因であることを理解してもらう事が非常に重要となるのです。そして自らもその障害特性が夫婦生活にとって悪く出ないように気を付けていく必要があります。

そして出来れば「発達障害」を理解しており、いつでも相談できる良き理解者を1人持つ事です。

恋愛も然り、結婚も然り、発達障害はその脳機能障害の特性から自分の置かれた状況を適切に把握したり、自身の置かれた状況を冷静に見る事が苦手です。その為、自分ではよかれとおもった事でも周りからみておかしかったり、自分の言動が相手にどのように伝わるかという事が客観的に見えにくいのです。その為、常に良き理解者を1人もち、日常の些細な事でも相談する事で、自身の行いが世間的に適切でない場合にアドバイスをもらい役立てる事ができます。また人に相談することでストレスが軽減できたり気分転換になり、QOLが向上します。
※発達障害に理解のない人に相談しても、ただ離婚をすすめてくる可能性が高いのであまり参考になりません。

夫婦喧嘩イメージ

 

 

就労においては仕事が長続きしなかったり、ストレスを抱やすく、鬱や引きこもりにもなりやすい

また男性もそうですが、発達障害を持つ女性も就労においては私と同様仕事が長続きしなかったり転職を繰り返したりして、ストレスを抱え、鬱病や引きこもりになってしまう方も多いようです。

仕事が長続きしない理由のその多くは本ブログでも何度も取り上げている「自身の障害特性にあった仕事に就けていない(適性相違)」や「障害特性からくる社会性欠如やコミュニケーションの問題」であり、また女性特有の問題として「女性グループにおけるコミュニケーションの困難」などもあり社内でのトラブルや人間関係に見舞われてしまうというのが大きな理由です。

そして就労において適性相違や人間関係といった問題で、心にストレスを抱え、やがて二次障害としてうつ病などをひきおこし、最終的に引きこもりとなってしまうのです。
当人は何とかしようと頑張るのですが、頑張ったところで脳機能の問題である為に自身で直す事は出来ず、就労においていつも同じトラブルとなってしまい、苦しんでやがて力尽きてしまうのです。

ひきこもりやニートに占める発達障害者の割合は、厚生労働省の調査では2〜3割強となっているが、じつは約8割近くいるのではないか?とする調査結果もあり、正確なところは未だ分かっていませんが、私は自身の経験上から引きこもりの原因の相当数が発達障害ではないかと考えています。

男女で二次障害や引きこもり数の違いにおける疫学的なデータは見つけられなかったが、就労において何らかの問題を抱え、二次障害や引きこもりに発展する発達障害を持つ女性は相当数いると思われる。
先述のように特に日本では女性に求められる(=又は期待される)事が多く、また女性が求められるコミュニケーション性の高さなどを考えると、女性の発達障害は男性より二次障害やひきこもりになりやすい要素が多いと言えるでしょう。

 

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引きこもり女性イメージ

 

男性の発達障害同様、女性の発達障害の生きやすさのヒントは自身の障害特性理解とメタ認知能力

以上の事から発達障害を持つ女性は、生活上や仕事上、様々な困難に見舞われます。
ではどのようにしていけばその困難を緩和したり乗り越えていけたりするのでしょうか?

上記、恋愛と結婚でも述べたように、まずは自分自身の障害特性の把握(理解)をしましょう。

自身が困難な状況に直面する原因は何かを冷静に分析するのです。ミスが多いのであればミスをしない為にはどうしたらよいか?コミュニケーションで困難を抱えるのであれば、具体的に自身のどのような言動(傾向によって)が相手を傷つけてしまうのか?また周囲から敬遠されるのか?を良く思い出し分析するのです。

そうやって原因を分析し、自身の障害特性を客観的に把握することをメタ認知能力と言います。
これは発達障害を持つ男女に関係なく必要になるスキルです。最初はなかなかうまくいきませんし、暫くうまくいっていたとしてもまた自身の悪い障害特性が出ることもよくありますが、日々この意識を持ちながら対処していくことで、日常のトラブルを大幅に減らす事ができます。

メタ認知能力が養われれば、仕事上でミスが多い場合はミスしないように第三者に2重チェックをしてもらうようにしたり、付箋や携帯電話でのスケージュール機能でミスの漏れを防いだりしてミスが発生しにくいよう対処ができます。

またコミュニケーションに難があるひと人は、相手の望むような返答が出来なかったり、自身が思う何気ない言動が相手を傷つけたり、不快にさせたり、敬遠させたりしているケースなどがある為、あらかじめ「今、こう発言したら相手はどう思うだろうか?」「この会話では〇〇という話題で話しているから〇〇という返答をしておいた方が無難だろう」とか自分が発言する前に先回りで考えるようになると、コミュニケーショントラブルは起こりにくくなります。

また次項でも説明しますが、発達障害と分かっている方(グレーゾーン含む)は、あらかじめ仲間や周りの人に自身の障害特性を伝えておき、把握しておいてもらう事もトラブルを回避するためには必要となるでしょう。

このメタ認知能力=常に冷静に自身を分析する力を身に着け、トラブルが起きる前に自身である程度対処できるようにするだけで、生きやすさは格段に向上します。
またこういったスキルは就労移行支援事業所や就労支援機関で行われる認知行動療法などの心理療法やトレーニングで身に付ける事が可能となるため、そういった支援サービスや機関を利用するのもいいでしょう。

 

【労働者側】当事者が教える「発達障害の人は就職できない」と諦める前に、障害者雇用という選択肢と障害者雇用で重要視する3つのポイント

 

女性の気付きイメージ

  

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自身の障害特性の理解や対処だけでは限界があり、周りの理解やサポートも必要となる

前項では生活や就労上の困難やトラブルを緩和する方法として「自身の障害特性の把握(理解)」「メタ認知能力」が不可欠だと述べました。

確かに発達障害においては自分自身の障害特性を把握し、その特性からくる困り事やトラブルに対処することや、自身を客観的に見たり分析するメタ認知を養い、対処する事が困り事や困難の緩和となることは間違いのないことです。しかし果たして自分自身の気づきや注意、対処だけでその障害からくる困り事や生きづらさを本当になくせるでしょうか?

例えば身体に障害がある方を例に見てみましょう。不慮の事故で下半身が不随となってしまわれ車椅子にて生活をせざるを得ない方がいるとします。
その方が外出の際には車椅子に乗って、行動をしますが、公共機関にしろ、ちょっとした公道の段差を乗り越える事にしろ、果たして自分ひとりで目的地まで上手くたどり着くことができるでしょうか?

移動の際、例えば他に手段がなく、スロープのない所で段差を乗り越えざるを得ない場合、自力ではどうする事もできず、通行人などの手を借りたり、近くにいるどなたかに手伝ってもらわなければならないでしょう。またバスや電車に乗る際も運転手や駅員に手伝ってもらわないと乗車や降車ができないのです。そういった事から生活上様々な困り事はバリアフリー化する事は当然のことながら周りの人の理解や協力があって初めて、生活のしやすさに結びつくものだと思われます。

発達障害を持つ人も、身体に障害を持つ方と同じように「脳機能に障害=生活上様々な妨げになるもの」を持った方たちです、その為、生活上のあらゆる場面で周囲の理解や協力が不可欠となります。

また身体に障害をお持ちの方と決定的に違う点は、発達障害者は外見からは障害者だとまわりが判断できない=見えざる障害であるという事です。(身体に障害のある方でも外見上、障害をお持ちの方と判断できない、体に内部障害をお持ちの方などはいらっしゃいます)

発達障害者は外見上、定型発達者と同じである為、周りの人は「発達障害である事」を知りません。その為、彼ら彼女らは私たち発達障害者に対して「定型発達者」と同様に接してきます。もし自分の発達障害を告知していなかったり、自分の困り事を周りに共有していないと、彼ら彼女らは私たちにやがて「奇怪」の目を向け、時には攻撃してきたり、無視されたり、腫物に障るように接してきたりします。
もうその時点で我々は生活上様々な妨げや制限を感じるれっきとした障害者となる訳です。

そうした事が重なると、いかに自分で障害特性を理解していようが、メタ認知能力と対処方があろうが、外圧からは逃げる事も出来ずどうする事もできません。行きつくところは自分の精神が病むか、崩壊するか、自宅から出れなくなる引きこもりになるかです。

その為、発達障害をお持ちの方が困難を乗り越え、生きやすくしていく為には、周囲の障害特性の理解と協力が不可欠となるのです。

 

女性への周りの理解イメージ

 

 

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発達障害をお持ちの女性も就労支援などの専門機関を有効活用し自身にとって働きやすい職場を見つけよう

以上の様に、発達障害をお持ちの女性(男性もそうだが)生活上のしやすさや生きやすさには「自分の障害特性の把握(理解)やメタ認知」と「周囲の障害特性の理解や協力」そして「周りに自身の障害の理解をしてもらう」が必要になってくると述べました。では求職活動や仕事での職場環境おいてはどうでしょう? 上記にあげたポイントだけ抑えればよいのでしょうか?

自分で意識したり気を付けたりできる「自身の障害特性理解」と「メタ認知」の部分はまだ良いとして、「周りに自身の障害の適切に理解をして対処してもらう」という部分に関しては外的要素の為、自分ひとりの力ではどうにもできません。また発達障害は最近でこそ周りにその言葉を知られるようになってきましたが、たとえ自身の障害を周りに告知できたとしても、その障害の本質や困り事を周りで理解している人はまだそう多くいません。

ましてや自分が勤める勤務先、会社は果たして発達障害者に対して理解や協力を得られる保証もありません。むしろ障害に理解がある会社の方が少ないか、また理解があったとしても適切に対応できるノウハウのある会社は圧倒的に少数でしょう。そういった自分の力ではどうする事もできない外的要因や、定型発達者でも労力を有する求職活動を発達障害者が1人で行って果たして、理想的な職場や人間関係に恵まれるでしょうか?

発達障害者支援法ガイドブックにもあるように

発達障害をもつ人の就労は、困難な事、苦手な事は回避し、興味や長所を生かせる仕事に就くことすなわちジョブマッチングが大事であるが、そのためには求職活動の早期から就労支援の専門家が関与する事が重要である

と記載がある。

就職活動や転職活動の求職活動においては早い段階から就労支援などの専門家(専門機関=就労支援機関やサービス)が必要であると明記されている。私が今まで読んだ発達障害に関連したほとんどの書籍に同様に支援機関やサービスの必要性を説いている。

その為、発達障害を持つ女性が独りで求職活動をしても、自身を客観的に分析したり、計画を立てたり、アポを取ったり、スケジュールを調整したり、面接で自分自身を説明したりと様々なハードルが立ち上がるのである。

その為、女性に限った事ではないが自分にとって働きやすい職場を目指すには、独りで活動するのではなく、現在用意されている様々な就労支援機関や就労支援サービスを利用した方が、様々な支援が受けられ、求職活動にも専念しやすくなり、結果、仕事や職場に恵まれる可能性もでてくるのである。
発達障害者も受けられる就労支援サービスや機関経由で就職先を見つけるという事は、就職先も発達障害にある程度理解のある企業が多いのです。

また就職後も一定期間、職場への定着の為の支援も受けられる支援サービス(定着支援)もあり、入社後の様々な困り事にも専任者とマンツーマンで相談してもらえる環境にあるのも、私たち発達障害者にとって嬉しい事である。

まずは求職活動において全部ひとりで上手くやろうと思わず、どのような支援機関やサービスがあるかを知り、自分に合った就労支援サービスをぜひ見つけてもらいたいと思う。

 

発達障害を持つ大人の方(又は疑われる方)が良い仕事環境につなげていく為の就労支援サービスフローチャート

 

女性の働き易さイメージ

 


 

以上、2回に分けて女性の発達障害について考えてみた。

女性は男性と違い、社会や組織、見えない所で様々な制約や壁がある。俗にいう「ガラスの天井」がある。

日本でも女性が働く時代が当たり前となった今だが、障害者に限らず、定型発達者でも女性はいまだ様々な制約や壁、性差別にぶち当たる。定型発達社会ならぬ男性優位型社会がいまだに根強く続いている。

女性が制約を受けず、自分の能力を発揮し、自分らしく、いきいきと働くためには、性別関係なくあらゆる人がそういった男性優位社会に異を唱えていく必要があるだろう。
そして発達障害が知られてきた現代において、発達障害をお持ちの女性たちも生きがいを持って働きやすい社会環境になる為には、私たち現役世代がモデルを作ってゆき、現行の支援やサービスをより充実、発展させていく必要があると私は考える。日本では欧米のように障害者が活躍して働けるようになるにはまだまだ時間がかかるであろう。

まずは今、発達障害をお持ちの女性の方で社会生活や就労において困難を抱えていらっしゃる方がいらっしゃれば、ぜひ私のブログや本記事なども参考にしていただきながら、現行の様々なサービスや支援機関をまずは知っていただき、よりよい人生に向かって行動してほしいと心から思うのである。 

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