今では発達障害の原因メカニズムは「脳の先天的疾患」や「脳機能の偏り」であると知られるようになってきました。
発達障害を持つ人は脳機能の偏りにより生活上様々な困難(困り事)が増え、それが障害となって生きづらさに結びついているのは確かな事ですが、実は近年の研究では併せて腸内細菌叢(腸内フローラ)が発達障害の症状に影響を与えているのではないか?という論文も多く発表されてきているのです。
目次
・脳と腸は相関関係となっている
・発達障害にも腸内環境が影響していると考えられる
・腸内細菌を移植すると自閉スペクトラム症(ASD)症状が改善したという研究結果もある
脳と腸は相関関係となっている
最近になり「腸内環境を整えれば病気になりづらくなる」や「腸は第二の脳」などと言われ腸内環境改善のキャンペーンが至る所で行われていますが、実は日本人は古来から発酵食品を常食し腸内環境が整っていたから世界一の長寿大国であったともいえます。
その腸内環境と脳内環境が相互に影響しているのではないか?腸内細菌は脳機能にも大きく影響しているのではないか?という「脳腸(のうちょう)相関」という言葉が研究により明らかになってきています。
よくストレスを感じるとお腹や胃が痛くなったり、逆にお腹が痛くなったり、お腹が不良の時は精神的ダメージを受け、滅入ったり、何もする気が起きなかったりと、みなさんも「脳腸相関」の影響を身体や脳で感じた事は経験上あると思います。また空腹や満腹時の脳への指令も実は腸内からの伝達物質により脳に送られ私たちは食欲をコントロールしているとも言えます。
ある研究では腸内細菌を持たない無菌マウスと腸内細菌を持つ通常マウスを比べた所、腸内細菌を持たない無菌マウスは通常マウスに比べストレスに対して過敏であったと同時に、脳の神経系を成長させるための因子が少ないことが分かりました。その後、無菌マウスに腸内細菌を移植したところ多動や不安行動が治ったという研究結果もあるようです。
発達障害にも腸内環境が影響していると考えられる
また発達障害も腸内環境と相関関係があるという研究結果も出始めています。
特に自閉スペクトラム症(ASD)の症状を持つ子供は下痢や便秘などになりやすいといった、消化器系の慢性疾患を抱えている人が多いという研究結果もあります。また自閉スペクトラム症(ASD)の子供の腸内細菌叢は定型発達の子供に比べビフィズス菌などの菌が少ない事も分かっています。このため自閉スペクトラム症(ASD)をはじめとした発達障害を持つ人の腸内細菌の種類は定型発達者に比べ偏っており、腸内環境が悪化しやすい傾向がみられたのです。
またアリゾナ州の大学の調査では自閉スペクトラム症(ASD)の症状を持っている子供の約3割~5割が下痢や便秘などのが分ったのです。
腸内細菌を移植すると自閉スペクトラム症(ASD)症状が改善したという研究結果もある
同大学の研究チームは自閉スペクトラム症(ASD)の症状をもつ子供に腸内洗浄を行って、定型発達者の腸内細菌叢を投与するという腸内細菌叢移植(FMT)を行いました。
するとFMTを行った後から自閉スペクトラム症(ASD)特有の行動衝動が次第に減り、腸内環境も整い下痢や便秘も改善され、さらに治療2年後の追跡調査では自閉スペクトラム症(ASD)の症状が45%減少したという結果となったのです。
引用元、参考文献
:精神科医が語る発達障害の全て 最新脳科学と行動心理学で発達障害を科学的に理解する Newton別冊
:ヤクルト中央研究所 脳腸相関③:脳腸相関は腸内細菌なしには語れない?!
以上の事から、脳と腸は密接にかかわっており、腸内環境を改善させる事により脳への作用が期待され、発達障害特有の症状を緩和させることができると期待されています。
私は自他共に認める健康マニアですが、腸活においては以前から取り組んでいます。
元々子供のころから偏食持ち且つ虚弱体質でありましたが、いまでは食べ物にはいつも気を使い、家族性高脂血症の家系という事もあり意識的に抗酸化食材と食物繊維、大豆製品を常に意識的に取るように心がけています。自閉スペクトラム症(ASD)のこだわりも相まってハマったら「それ」をひたすら食べ続けるという習性もあります。いまでは飽きずに毎日、トマトジュース、プチトマト、ブロッコリースプラウト、オリーブオイル、干しブドウ、豆乳、そば茶(本当はリンゴを常食したいが果物アレルギーの為、控えている)を欠かさず飲食しています。
そして腸内環境を整える為、毎朝欠かさず、乳酸菌やビフィズス菌飲料を飲むようにしています。
そして体に余分なものをなるべく入れない為に、買い物時には必ず食品の裏の成分表を見て、危険な添加物が入っている食品の購入は避けている徹底ぶりです。(本で特に身体に危険な食品添加物を調査済)
元々私は扁桃腺持ちで幼少の頃から毎年冬には扁桃腺が腫れ、風邪で寝込む日が多かったのですが、腸活を始めだしてからというもの一切扁桃腺が腫れなくなり、風邪をひくことがなくなりました。
そして腸内環境も以前は上記にあげたように、毎日と言っていいほど自閉スペクトラム症(ASD)特有の腹痛や下痢を頻繁に繰り返していたものの、乳酸菌飲料やビフィズス菌飲料を毎日飲むようになってからというもの、今ではほとんどお腹を壊す事がなくなりました。
さらに最近、働く環境が変わった事もありますが、腸内環境を整えてからというもの、以前のような発達障害特有の症状が緩和されたように感じ、ストレスをあまり感じないようになったことも関係していると思われます。以前は些細な事でキレやすく、思った事をすぐ口に出し、そしてこだわりも強かったため特に就労において困難を極めておりましたが、今で気持ちが全体的に穏やかになり、発言する前に一度冷静に考える事をするようになり、こだわりも未だあるものの生活や就労において困らないレベルになった気がします。
そして今では自分自身を俯瞰して見る事ができ、物事を比較的冷静に対処できるようになった事も大きな改善と言えるでしょう。
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「発達障害の自己認識」と「周囲の理解」にあわせて「腸内環境を改善した」事が影響していると思われ、このうちどれが症状改善の一番の決定打となっているかは自分自身でもわかりませんが、腸内環境を改善した事により、精神面のみならず、体調面でも劇的に改善されたという事は明らかに自分にとって大きなメリットといえるでしょう。
発達障害の症状に悩む皆様も腸内環境を改善し、体質改善および発達障害による困り事を少なくしていけたら良いですね。