大人の発達障害者である私の薬と自立支援医療制度

薬と自立支援医療イメージ

正式に大人の発達障害で注意欠如・多動症(ADHD)+自閉スペクトラム症(ASD)(「自閉症スペクトラム」旧名:広汎性発達障害)と診断された私だったが、思いの他心はすっきりと晴れ渡っていた。

「もう自分は無理をして生きていかなくてもいいんだ。もっと自分に正直になって自分が出来る範囲でやりたい事をやって生きればいいんだ」
「人生は嫌なことばかり続けて生きるほど長くない」

そんな考えが新たに芽生え、人生半ばにして生まれ変わったような感じであった。
誕生直後に難病で死の淵から蘇った事、子供の頃交通事故にあっても死ななかった事、人生半ばとなった今新たな気持ちで生まれ変われる事、それはいずれも神様が与えてくれた私へのギフトなのかもしれない・・・

そんな事を考えながら次の人生を歩むまではゆっくりと精神を療養する必要がある。私の心は40年間の間、原因も分からずっと傷ついてきたのである。少しぐらいここでゆっくり休んでも誰も文句は言わないだろう。私は思いっきり嫁に甘えさせてもらいながら暫く病院での診断と投薬をして社会復帰をしていこうと決めたのだ。嫁も結婚してから10年以上そばで私の境遇や辛さを見てきた為、よき理解者であった。ただいずれは発達障害とつきあいながら自分のできる範囲で自立しながら生きていかないとならない。
その為にはただ甘えるだけでなく、少しでも生活していく上で軽減できるものはしていかないとならない。それはまず投薬と社会保障である。
まず医師の診断が下りて前回記したように投薬されたものは2種類であった。

1 アトモキセチンカプセル 10㎎
2 バルプロ酸Na徐放錠 200㎎

1  アトモキセチンカプセルは注意欠如・多動症(ADHD) 注意欠如・多動症の薬であり脳内の特定の化学伝達物質の活動を調節するのに役に立ち、注意力を高め、落ち着きのなさを低減する効果がある。

2 バルプロ酸Na徐放錠 は抗てんかん薬の一種で主にてんかんと双極性障害の2つの症状の治療に使用される薬である。自閉スペクトラム症(ASD)(旧アスペルガー症候群)では気分安定剤の目的で処方されることがあり、気分の波や躁うつ的な気分の変動を減らす効果がある。

上記2つの薬を処方され体調(主に精神的な負担軽減)の様子を見ることにした。

そしてもう一つは公的医療制度である自立支援医療制度である。

医療制度イメージ


自立支援医療制度とは心身の障害を除去・軽減するための医療について、医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度である。本来は自己負担3割の医療費が自立支援医療制度を利用すると原則1割負担となる。世帯収入や障害の程度によって月額の上限負担額は決まっている詳しくはネットや役所で確認してほしい。
対象者は精神通院医療、更生医療、育成医療を受けている者が対象で主に身体や精神に障害を持っている人たちである。

手続きについてお住まいの市区町村の障害福祉課などの窓口で申請するが、平行して主治医にも利用したい旨を相談しておくとよい。申請書を役所で入手したら自身で記入し、そのほか医師の診断書(フォーマットが決まっている場合あり)などを添えて役所に提出する。
提出後は「自立支援医療受給者証」が届くまで時間がかかる為、それまでの間は申請書の控えと仮の自己負担上限額管理表のセットで診察の際に病院窓口に提出すると医療費が低減されるというものだ。

私の場合、初診以降、通院1回あたり約4000円程度(薬価が約半分)の医療費だった。診断が月2回だったのでひと月約8000円近くかかったのである。通院で毎月約1万円近くの費用がかかってしまうと年間出費もばかにならない。片方だけの収入ではかなりの負担だ。これが自立支援医療制度を利用すると1割(1/10)となるのだから利用しない手はない。
私はこの制度を知るまで少し時間がかかり、役所に申請書の提出をするのが初診後かなり後となってしまった為それまでの間、診察代と薬代の両方の医療費3割が受診するたびかかっていた。
申請書を記載し診断書と併せて早めに提出しないと控えももらえず、その間の医療費は通常通り3割負担で自立支援医療分は軽減されない、その為これから病院への受診を考えている方は病院受診と併せて早めに役所での手続きをされることをお勧めする。

私は普段日本という国についてネガティブな考えばかりを持っており、発達障害と分かったいまでも尚更この国の生きづらさに辟易するが、このように自立支援医療制度を利用する当事者となった時、あらためてこの国の医療保障制度が素晴らしい事に気づくのである。
以前、頸椎の手術をした時も「高額医療制度」というものを利用して手術費用の軽減を受けられた過去もある。
また日本の健康保険制度は世界的にみて優れた医療保険制度であるが、プラスアルファ障害者への手厚い医療保障制度もあるというのは心強い。
矛盾しているように聞こえるが病気や障害の当事者となって言える事は、医療保障制度的に考えると本当にこの国に生きていてよかったと感じるのであった。

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