コラム:大人の発達障害者の私が遭遇したバス停での珍事

順番待ちイメージ

いつもまじめな記事や暗い記事ばかりではつまらないので、今回は笑える話をしたいと思う。

その笑える話は最近私が遭遇(というか巻き込まれた!?)話であり、発達障害とは無関係ではなく、発達障害の特性から派生した珍事といってもいいだろう。内容はしょーもない内容であるが嫁に話したら腹を抱えて笑っていたのでブログのネタになるかと思い書いてみようと思う。では本題に移ろう


それはちょうど今の仕事を始めたばかりの頃だったので今年6月になっての出来事である。

今の就労先である就労継続支援B型事業所にはバスと徒歩を合わせて徒歩40分ほどのところである。その出来事はちょうど仕事が終わり帰宅中のバス停で起きた出来事だ。
6月に入り急に気温が上がりだし、私は仕事終わりの事業所から徒歩で20分かけて駅近のバス停まで歩くのがおっくうな為、最寄りコンビニでシェアサイクルを借りて、汗をかきながら駅近くのコンビニまで自転車で漕いでいき、コンビニにシェアサイクルを返却してその足でバス停に向かった。

いまは時短勤務の為、私の仕事は15時までである為、15時16時台はバスの本数がそこまで多くない。また駅近の始発バス停という状況もあってか1本に乗り合わせる乗客の数が比較的多くなりがちである。発達障害を持つ私はとにかく「いつも座っている指定の席に1番乗りで座りたい」という願望が強い。私はいつもバスの一番奥の左の窓際の席が特等席である。定型発達者の人でも自分のお気に入りの席になるべく座りたいという願望があったりするであろう。原理はそれと同じである。ただそこに座れないと落ち着かないのだ。
その為、もしバス発車までに乗車が間に合ったとしても、その席に座れず多く人がバスに乗っている場合はあきらめ、やり過ごし、次のバスを1番乗りするために待つという事にしている。
その日も同じ状況でスマホでバスの時刻表を事前に確認しながら、先に停まっていたバスをやり過ごし、発車した後に次のバスに1番乗りで乗る為に先頭で待つことにしていた。待っているときバス停で私は正面向きではなく横向きに立ちながらスマホを見て次のバスを待っていた。

バス停イメージ

しばらくの時間が過ぎた時、ふとスマホ画面から顔を上げた私はある事に気づいた。
なぜか1番先頭で待っているはずであるのに私の前に一人の老婆というかおばさん?が立っているのだ。年齢は60台中盤から70代前半といったところであろうか。身長は150前後くらいで小柄な女性だ。私は「!?」と思った。なぜバスをやり過ごし先頭で待っていたはずであるのに私の前にバスを待つ人がいるのか!私は急に不機嫌になった。

あの~。すいません。私が1番先頭で待っているのですが、割り込まないでもらえませんか。」

その女性は悪びれもなく私の言葉を無視するように知らんぷりの様子。失礼な表現ではあるが彼女の顔は俳優の「谷啓」にそっくりで、谷啓を細身にして色白にしておばあさんにした感じであり、私は内心笑ってしまった。再度私は一度大きな声で

あの~!すいません!私が先頭でバスを待っているんです!割り込まないでくださいっ!

とその女性に向かって叫んだ。すると女性はあろうことか口をとがらせながら「私が1番最初に並んでいたのよ!」と言い出した。一気に怒りが込み上げてきた私は

何をいってるんですか!私が先頭に並んでました!ウソはやめてください!わかったら後ろに並び直してください!」と叫んだ。
しかしその女性は一歩も引く気配を見せない「私が1番最初に並んでたんです~!」と語尾を伸ばしながら人をバカにした口調でいうのだ。だいぶ変わった人だ・・・
更に怒りが込み上げてきた私は「いや何をいってるんですか!頭大丈夫ですか!私がずいぶん前から一番最初にならんでいたんです!」相手「いや私が1番ですぅ~!」私「何をいってんの!私が一番です!」相手「いや私が1番ですぅ~!」と言い合い埒が明かない。そのうち彼女は両腕の親指を突きたて下向きに私をバカにしながら「いや私が1番ですぅ~!」を連発。私も負けじと同じく親指を下に突き立てながら相手をバカにした様子で「何いってんだよ!俺が一番だっ!」と応戦。端から見ると小学生同士のケンカレベルである・・・

そんなやり取りの最中に彼女がぽろっと口にした言葉が「私は障害者だから一番先頭なのっ!障害者だからいいの~!」と言ったのだ!なんか少し様子がおかしいおばさんだと思っていたが、たぶん「障害者」という偽の情報を免罪符に割り込みを正当化しようとしているのだ。それを聞いた私も黙ってはいない。

はあ?俺だって障害者だよ!発達障害!わかる?おばあちゃん発達障害って?」と私も負けじと応戦。するとおばあさんが「おばあさんじゃないわよっ!」と怒り出す。ってか突っ込みどころそこかよ!「発達障害」について突っ込めよと内心思いながらも今度は論点が代わりおばあさんは「私は障害者です!」私は「俺だって障害者だ!発達障害だ!」と議題が変わり何とも低レベルな口論に発展(笑)
そして今度はお互い言いたい放題の内容で応酬。彼女は「あんた!アホやろ!あっかんべー!」と完全に私をバカにし続ける。負けじと私も「おばあちゃん!日本語ワ・カ・リ・マ・ス・カ~?わかんないよね~おばあちゃんバカだから~」と今度は幼稚園レベルの口喧嘩の応酬。

そうこうしている間にふと後ろを見ると、バス停には10人以上が列をなし私たちのやり取りを笑いながら聞いているのだ・・・もうこうなったら恥も糞もない。2番目に並んでいたおじいさんは、谷啓似のおばあさんが出現する前から並んでいた為、私はそのおじいさんに聞いてみた「すみません。最初からいらっしゃったと思いますが、私が1番最初に並んでいましたよね?このおばさん割り込みですよね?」とバス停で並んでいる人全員に聞こえる声で私は2番目のおじいさんに聞いてみた。するとおじいさんは「そうですよ。あなたのおっしゃる通りあなたが1番最初に並ばれていて、そのおばあさんは割り込みされましたよ」と言ってくれるのだった。私は感激して「ありがとうございます!そうですよね!?私が1番でこの方は割り込みですよね~?」と返した。

負けず嫌いで1番でないと気が済まない。そして障害特有のルールを守らない人はゆるせない、かつ納得できない事には1歩も引き下がらない。そしてバカにされた事に対して絶対に負けたくない。もうプライドの塊のような自分である(お前はベジータか)。ここでは絶対引き下がらないとこちらも頑固。私はわざとバス停で待っている人全員に聞こえるように

皆さん!ここに証言者がいらっしゃいます!私が1番最初に並んでいてこのおばさんは途中から割り込んでき来られたところを目撃されていらっしゃいます!皆さん!割り込みはダメですよね~?

並んでいた人は無反応の人もいれば、うなずく人、「いやだね、割り込みらしいよ」みたいな反応を示す人など様々である。証言者のおじさんは半ば呆れた感じで「まあまあ、いいじゃないですか。1人くらい先に行かせてもバスは座れますよ」と至極正論で大人な対応をみせるのである。
しかし私は発達障害特有というか自閉スペクトラム症(ASD)特有の「曲がったことが大嫌い」「ルール違反は許せない」注意欠如・多動症(ADHD)特有の「絶対1番でないと気が済まない」という特性からこのおばあさんを許すことができず。おじいさんに「いやそうですが、やはり割り込みはダメです。これはいくら何でも許せません。」とキッパリ返した。

この時間帯はまだ帰宅ラッシュではないので、バスに乗る年齢層も高齢者や母と娘の親子という年齢層の人が圧倒的に多く、みな緩やかな感じであった。ただそれとこれとは話が違う。証人を得た私はしてやったりの感じでおばあさんに

ほら!ここに証人がいますよっ!この方が私が1番最初に並んでいて、あなたが割り込んできたと言ってます」「もうウソはつけませんよ」「さあ後ろに並んでくださいっ!」ここまで証拠を出されては後ろに並ぶしかないだろうとおもっていたが、何を血迷ったかおばあさん威勢づき「私が1番 さ・い・しょ・に 並んでたの~~!?」と向こうもエンジン全開の様相である。

困った私は考えた。「ここに居座られたら。割り込みが正当化されてしまう。バスを1本やり過ごし正直に並んでいた私がバカをみる。どうしたものか・・・」そこで更なる手段を考え付いた。

ひとまずその場では負けたそぶりを見せ、バスが来るまでおとなしく待っている様子を私は見せた。おばあさんはもう勝った気でいる。(というか勝ち負けの問題ではないがw)怒りと憎しみが混じった感情が込み上げてきたがここはグッと堪えた。そしてバスが来るのを私は待った。

そしてバスがいよいよバス停まで来る前に、私はそのおばあさんの前にガバっと入り、すっと両手を広げ、後ろから前に通させないように逆「通せんぼ」の恰好をした。その恰好をしたまま後ろを見ると谷啓似のおばあさんは「やられた!」という顔をしているのだ。それでも何とか私の前に入ろうと身を寄せてくるので私は両手を広げたまま絶対に私の前に入れさせないように、おばあさんの動きに合わせ左右に動きながら「完全通せんぼ」をし続けた。周りの通行人は(なんか面白いことしてるぞ)というような顔で皆驚いた様子や笑いながら通り過ぎるのである。それはそうである。バス停でいい歳したおばあさんとお兄さんらしきおじさん(私は実年齢より若く見られたり幼く見られる事が多く、良くお兄さんと言われる)が2人で通せんぼごっこをバス停でしているのである。

そうこうしている間にバスがバス停にやってきた。バスからは運転手が社外アナウンスで「そこの2人!危ないですよ~!バスからはなれてくださ~い!」と運転手から注意される始末。それでも絶対に割り込ませたくない私はバスの扉が開くまで通せんぼをし続ける。もうお笑いの的である。

そして扉が開き私は願通り1番手でバスに乗る事ができた!もうこれで私は谷啓(おばあさん)に勝ったのだwそしていつもの特等席の左後ろの席に向かった。おばあさんは悔しそうに乗車し、先頭に近い前の席に座った。そこが彼女の特等席だったようだ。そして2番目に並んでいた証人のおじいさんは私と同じ後ろの席にきて、私が会釈をしたときにおじいさんが一言「ああいう人にはあんまり相手にされないほうがいいですよ」とアドバイスしてくれた。私は「すいません。さっきはありがとうございました」と返した。

そして特等席に座れて満足の私はそのおばさんがどこで降りるのか気になった。割り込みまでして乗車しようとしたのだから私と同じく最終まで乗るのかと思いきや発車から僅か3~4停所で降りるのであった。しかも降車中に彼女は運転席に手帳を提示していた。やはり彼女の言った「私は障害者だから・・・」というのは単なるハッタリではなく本当だったようだ。しかも彼女は見た目から障害者と判断しにくかった事からもしかしたら私と同じ発達障害だったのかもしれない。(もしくは軽度の知的の障害をもっていたのかもしれない)

残りの時間バスに乗っている間、障害者同士がバス停で何とも幼稚園レベルのケンカをしていた事を思い浮かべ、私は初めて「恥ずかしい」という感情が生れるのであった。


PS:この話を帰宅後、嫁にジェスチャーを交えながら話したら嫁は腹を抱えて笑っていた。
ただ世の中にはいろんな人がいるし犯罪に巻き込まれることもありうる現代なので、十分注意するように言われたミスターチルドレンなのである。

やはり今回の珍事を最初から客観的に見れたとしたら、やはり私は紛れもなく「障害を持つ人」なのである。

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