先日、病院にて大人の発達障害の問診を受けた私は、女医の提案で、自閉スペクトラムも含め、発達障害の傾向がつかめるWAIS(略称ウェイス)ウェクスラー知能検査を受ける事になった。
WAIS検査は、成人の知能(IQ)を測るための一般的な知能検査で、人間の認知・情報処理機能(見る・聞く・理解する・伝える・覚えるなど)の中で、何を得意とするのかを知ることができ大人の発達障害の診断にも広く使われている検査のようである。
WAIS検査は大きく分けて4つ。①言語理解 ②知覚推理 ③ワーキングメモリー ④処理速度を検査する内容となっており、発達障害の場合はそれぞれの指標の差が激しい傾向があるようだ。
①言語理解=言葉を用いて、物事の概念を理解し、表現する力
②知覚推理=視覚情報を正確に捉え、理解し、表現する力
③ワーキングメモリー=聴覚情報を短時間記憶し、操作する力
④処理速度=視覚情報を正確に捉え、素早く処理する力
検査自体は個室で臨床心理士と2人でデスクに座り、口頭で一問一答形式で行われる。問題全てに制限時間が決められておりストップウォッチ用いて行われる。
例えば同義語、反対語を答えたり、数字をいくつか読み上げそれを復唱したり、読み上げた数字を逆から読み上げたり、暗算したり、一般常識的な質問を答えたり、イメージ画どおりにブロック(レゴのようなもの)を完成させたり、イメージ画をみて欠けてるものを答えたり・・・そういった比較的簡単な内容ではあるものの実際やってみるとなかなかうまくいかないという状況になったりする。
あとやっててこの分野は得意だけど、この分野は苦手だなと自分で感じる事もできて客観的にも面白いテストであった。所要時間は1時間30分~2時間位かかった気がする。そしてテスト結果は後日分かるという仕組みである。
後日、検査結果がでて同様の臨床心理士から検査結果と障害の傾向を口頭で伝えられた。正式な検査結果が用紙として欲しい場合は診察料とは別に自己負担額4000円かかりますと言われた為、私は口頭で検査結果を教えてもらうことにした。
検査結果はIQが確か96(平均がだいたい90~110位)だったので平均的なIQではあった。
それで実際の障害の傾向を聞くと私の場合は言語理解は非常に高かったが、知覚推理は相対的に低かった為、言葉で表す力は高いが、目で見たものの違いや関係性、関連性を見つけたり文脈を整理したり再構築する力が弱いとの事。またワーキングメモリが狭く耳で聞いたことを長期間、正しく記憶として保持できないと臨床心理士から説明があった。
(のちに書籍で調べたところ自閉スペクトラム症(ASD)=自閉症スペクトラム(旧アスペルガー症候群)の人は言語性知能(言語理解)が高く動作性知能(知覚推理)が低く、その乖離が大きいのが特徴であるとの事。自閉症の人は逆のパターンが典型例らしい)
最終的に前回の医師の診断とWAIS検査の診断結果をまとめると下記の通りである。
■傾向
・耳で聞いた事を正しく記憶として保持できない
・不注意が多い
・衝動=余計な事、ネガティブな事を言いやすい。キレやすい。
■対処法
・確認をすること(分かりづらい事は分かった気にならず、「〇〇ですよね」と再確認する事)
・その場の発言にふさわしいかを冷静に考え一呼吸置いてから発言すること。
・「こうすべきだ、ああすべきだ」ではなく、なるべく「こうしたい。こうなったらいい」など前向きな発言を心がける。
・言われた事ややるべき事は必ずメモをとるとともに、間違いがないか相手と認識合わせをする
・キレそうになったら、「何に怒っているのか?それは自身の勘違いではないか?」と疑いを持つ。そして心を落ち着かせる。キレる前にアラートを出す。または別の場所に移動する。外の空気を吸う。
・つらい場合はため込まず必ず第三者に相談に乗ってもらう(話を聞いてもらう)
上記診断を受けて今までの職業上の困難の共通点と改善策が浮かび上がってきた。
おもに
■辞職のきっかけとなった原因及び改善策
・思い込みによるミス →間違いがないか相手と再確認しながらミスを減らす
・場にふさわしくない言動で人間関係をこじらず →その場の雰囲気を良く考え言っていい事と悪い事を客観的に判断して、一呼吸おいて発言する。迷ったら言わない。
・理想論だけ振りまく →「~べき」論ではなく「~したい~してみよう」論で考える
・納得いかない事があるとキレる →キレそうになったら冷静になり深呼吸する。そして冷静に客観的視点から自分の勘違いの可能性を考える。アラートを出す。その場を離れる。
・ストレスが溜まり吐き出す場がない →第三者の相談者をつくり悩みを聴いてもらう
である。
私が仕事が続かず転職過多である理由もうなずけるのである。